Appleの次期スマートウォッチ向けOS「watchOS 12」が今秋リリースされる見込みであるが、同OSの対応モデルからApple Watch Series 6が除外される可能性が高まっている。背景には、S6チップの処理能力に起因するパフォーマンスの限界があるとされる。
対応予定のモデルには、今秋発売と噂されるSeries 11やSE 3を含む現行の上位機種が名を連ねる一方、Series 7は対応の可否が不透明な状況にある。新OSは、visionOSに影響を受けたガラス調デザインなどの刷新が含まれるとの情報もある。
旧モデルに対するサポート打ち切りの動きは、性能向上による新機能の安定動作を確保するためとも見られる。Apple Watchユーザーにとっては、買い替え時期を見極める判断材料になりそうだ。
Series 6が非対応となる理由とSeries 7の位置づけ

watchOS 12においてApple Watch Series 6がサポート対象外となる理由は、搭載されているS6チップの処理能力の限界にあるとされる。最新OSは、visionOSを意識したグラフィック表現や複雑な処理を必要とする新機能を含むことから、旧世代チップではパフォーマンスの維持が困難と判断されたようだ。
Series 6は2020年に登場したモデルであり、当時は先進的とされたものの、4年が経過した現在では、発熱やバッテリー消耗といった課題が顕在化しつつある。一方で、Series 7については明確な対応可否が示されていない。
これは、S7チップがS6に比して改良されているとはいえ、大規模なアーキテクチャ変更がないため、watchOS 12の要求仕様を十分に満たせるかどうかが慎重に見極められているためと考えられる。仮に対応が見送られれば、Series 7ユーザーにも買い替え検討の圧力がかかることになるが、ギリギリでの対応継続もあり得る状況といえる。
今回の対応機種の絞り込みは、ユーザー体験を損なうリスクを避けるための選択でもある。Appleとしては、watchOS 12をストレスなく動作させる環境を前提に進化を図っており、古いハードウェアへの対応を続けることが技術的にもブランド戦略的にも難しくなっていることがうかがえる。
今秋登場予定のSeries 11とSE 3が担う役割
watchOS 12のリリースに先駆けて、Appleは今秋、Apple Watch Series 11およびSE 3の投入を予定しているとされる。これら新モデルは、watchOS 12の全機能を最大限に活用できる設計がなされており、パフォーマンス面でもバッテリー効率の面でも大幅な進化が期待されている。
とくにSE 3は価格帯を抑えつつ、新OS対応を標準とすることで、これまで買い控えていた層へのアプローチとして機能する可能性がある。Series 11に関しては、Apple Watchのフラッグシップとして位置付けられ、高速な新チップの搭載やセンサー技術の刷新が想定される。
これにより、watchOS 12に含まれるグラフィック表現やユーザーインターフェースの高度化に対応できるだけでなく、ヘルスケア機能の進化やサードパーティアプリの処理能力向上にもつながると見られている。Appleにとって、新モデルと新OSの連動は、デバイス更新を促進する重要な契機である。
古いモデルを意図的に非対応とする動きには、買い替え需要の喚起というマーケティング的な要素も含まれるが、それはあくまで副次的な意義にすぎない。主眼は、ユーザーに対し、最良の動作環境と没入感を提供するという点にあるといえる。
Source:The Mac Observer