Nvidiaの株価が114ドルを再び上回り、1日の取引で18%以上の急騰を記録した。背景には、ドナルド・トランプ前大統領が発表した「解放の日」政策の一時停止がある。10%の一律関税を90日間停止する方針が明らかとなり、これが投資家心理を大きく好転させた。
この政策転換を受けて、S&P500とナスダックもそれぞれ7%超、10%超の上昇を示し、市場全体が急反発した。一方で、中国には125%という高関税が即時適用される方針で、米中関係の緊張は続いている。90日後の動向が、今後の株価の方向性に大きな影響を及ぼす可能性がある。
Nvidia急騰の主因は「90日間の関税停止」措置と市場の即応

Nvidia株が114ドルを突破し、1日で18%超の上昇を記録した背景には、トランプ前大統領が打ち出した一律10%の輸入関税措置に対する90日間の停止発表がある。政策は自身のSNS「Truth Social」で表明され、全世界に向けて即日発信されたことから、マーケットは即座に反応し、S&P500とナスダックも大幅な上昇に転じた。特にテックセクターの一角を占めるNvidiaは、半導体関連銘柄として貿易政策の影響を最も受けやすい立場にあり、今回の緩和が直接的な株価押上げ材料となった。
2024年には174%の上昇を記録した同社株は、2025年に入ってからは失速し、年初来で17%超の下落に沈んでいた。しかし、今回の措置によって投資家心理が一変し、短期的なリスク回避から一転して買いに転じた動きが浮き彫りとなった。なお、中国を除くすべての国を対象に関税緩和が適用された一方で、中国に対しては125%という高関税が維持されており、対中関係の先行きには引き続き警戒が必要となる。
対中強硬姿勢の影と、Nvidiaのリスク構造への含意
今回の市場急騰は一時的な緩和策に基づくものであるが、中国を除外したトランプ氏の姿勢は、依然として米中貿易戦争の火種が残されていることを意味する。中国に対する125%という異常な関税水準は、Nvidiaのようなグローバルサプライチェーンに依存する企業にとって、長期的なリスク要因となり得る。特に、同社はAI向けGPUの需要増によって急成長を遂げてきたが、製造プロセスや原材料の調達においてアジア地域との連携は不可避である。
短期的な株価回復は政策リスクの緩和を反映したものであるものの、その背景にある地政学的リスクは依然として未解決である。投資家にとって重要なのは、今回の90日間の一時停止措置が恒久化されるか否かであり、それが市場の持続的な安定性を左右する。
仮に90日後に再び関税措置が全面適用されれば、Nvidiaを含む関連銘柄には再び急落のリスクが浮上する可能性がある。政策の連続性と方向性の不透明さが、今後の展望における最大の懸念材料となる。
Source:Watcher Guru