ドナルド・トランプ前大統領が90日間の相互関税停止を発表したことを受け、4月9日の米株式市場は劇的な反発を見せた。ナスダック総合指数は一日で12.16%上昇し、第二次世界大戦後で3番目となる一日あたりの上昇率を記録した。

特に、半導体や広告関連などリスク資産とされてきた銘柄が買い戻され、NVIDIAが18.72%、Metaが14.76%、Teslaは22.69%と急伸した。設備投資に関してはGoogleが750億ドルの支出計画を改めて示し、景気後退懸念の緩和が市場全体に安心感を与えた格好だ。

とはいえ、今回の関税撤回は一時的な措置であり、90日後には再び緊張が高まる可能性もある。市場は反発したものの、依然として年初来高値には届かず、回復基調の持続性には慎重な見方も根強い。

歴史的急騰を導いた三重の要因と個別銘柄の動向

4月9日、ナスダック総合指数が一日で12.16%上昇した背景には、トランプ前大統領による相互関税の一時停止、設備投資継続の確認、そして景気後退懸念の後退という三つの要素が重なったことがある。特に午後1時18分、トランプがTruth Socialにて関税停止を発表すると、相場は直ちに反応し、売り込まれていたテクノロジー株を中心に強烈な買い戻しが入った。

この日、NVIDIAは18.72%の急騰を記録し、Meta Platformsも14.76%と高騰。Teslaは中国との緊張緩和の期待から22.69%上昇した。設備投資ではGoogleが750億ドル規模の支出計画を維持し、市場に安定感をもたらした。MicrosoftもOpenAIとの関係性変化を理由に一部見直しを行ったものの、支出自体は依然高水準に保たれている。他のクラウド大手、AmazonやMetaの計画変更の有無も市場の注目を集めている。

株価急騰は、Polymarketによる不況確率の急低下とも一致しており、発表前の66%から49%まで下がったとのデータが示す通り、市場心理の改善が裏付けられる形となった。もっとも、これは依然として高水準であり、不確実性の払拭には至っていない。

関税政策の一時緩和と市場の早計な楽観

トランプ前大統領による関税一時撤回の決定は、株式市場に即時の安心感をもたらしたが、この措置はあくまでも90日間の暫定的な停止に過ぎない。投稿には中国を除く各国との交渉を進める意向が明記されており、関税が完全に撤回されたわけではない。従って、この反発は一時的な要因に過度に反応した側面が否めない。

事実、ナスダックは一日で歴史的な上昇を遂げたものの、年初来の水準には未だ15%程度の乖離が残る。関税措置が再開される可能性が消えていない中でのこの上昇は、短期的なセンチメント主導であると見なすべきである。さらに、米中関係の不透明さや、インフレ指標、政策金利の動向といった構造的な懸念も残されており、単一の政治的メッセージに市場が過度に依存する構図は、過去のボラティリティを想起させる。

加えて、主要企業による設備投資が継続されているとはいえ、計画変更の兆候も見え始めている。Microsoftの容量縮小は、OpenAIとの提携変更に伴う戦略修正の表れとも取れる。今後、AmazonやMetaの支出姿勢に変化が生じれば、相場への影響は再び強まる可能性がある。慎重な視点が求められる局面である。

Source:24/7 Wall St.