Samsungが半導体開発の次なる一手として、1nmプロセス専任の開発チームを立ち上げたことが明らかになった。高NA EUV露光装置の導入が不可欠とされるこの超微細プロセスにおいて、同社は2029年の量産開始を視野に入れているが、装置の発注状況は不透明である。

一方で、競合するTSMCはすでに1.4nmの研究に着手し、2nmチップの受注も進めていると報じられており、開発競争は激化している。Samsungの2nm試作では歩留まりが30%にとどまっているものの、3nm世代からの改善は見られる。

2029年量産を見据えた1nmチップ開発チームの始動と技術的課題

Samsungは、自社の半導体技術を限界まで引き上げるべく、1nmプロセス専任の開発チームを結成した。この動きは、2nm GAAプロセスの進展が報じられる中で浮上したもので、次なるノードへと歩を進める計画である。報道では2029年を量産のターゲットとし、既に一部の研究者が新チームへ移籍したことが明らかになっている。

1nmチップの製造には高NA EUV露光装置が不可欠とされているが、現時点でSamsungがこれらを発注済みかどうかは不明であり、導入までの時間軸が長期化する可能性もある。また、極端な微細化に伴う電力効率やトランジスタ制御の複雑化など、技術的ハードルも依然として高い。

これまで1.4nmプロセスの進展については情報がほとんどなく、一部では開発中止との見方も出ていた。その状況下で1nmへ注力する動きは、従来の工程をスキップする戦略的判断とも捉えられるが、同時にそれは、先行き不透明な高難度領域への挑戦でもある。これが現実の成果へと結びつくかは、露光装置の調達と量産技術の確立にかかっている。

歩留まり30%の2nm試作とTSMCとの競争構図

Samsungは現在、2nm GAAプロセスの試験段階にあり、歩留まりはおよそ30%とされている。この数値は、前世代の3nm GAAプロセスに比べれば改善されたものの、大量生産に耐える水準にはまだ達していない。一方、TSMCはすでに2nmウェハーの注文を開始しており、チップ製造におけるスピードと安定性では一歩先を行っている印象を受ける。

興味深いのは、TSMCが1.4nmノードの研究を始めたとされる中で、Samsungの開発プランには1.4nmに関する具体的な情報がほとんど見られない点である。過去に同プロセスの計画がキャンセルされたとの報道があったことから、技術的または経営的な判断によってリソースを再配分した可能性も考えられる。

この差はユーザーの手に届く製品にも影響を及ぼす可能性がある。たとえば、スマートフォンやノートPCのチップ選定において、プロセスノードの進度と歩留まりは消費電力や性能に直結するため、結果的に製品の魅力や寿命に関わる要素となる。両社の技術戦争の行方が、今後のデバイス体験にどう波及するかは慎重に見守る必要がある。

Source:Wccftech