トランプ前大統領が、NvidiaのH20チップの中国企業への販売規制を一時的に見送ったとNPRが報じた。決定の背景には、同社CEOジェンスン・ファン氏が出席したフロリダ州マー・ア・ラゴでの非公式ディナーで、トランプ氏との接点があったことが影響した可能性がある。
H20チップは既存の輸出規制に適合するよう設計されたもので、最先端製品に比べて性能は抑えられている。今回の規制見送りが報じられた4月上旬、Nvidia株は18%以上の急騰を記録し、市場全体の好調と相まって大きな反応を見せた。
また、トランプ氏は先週発表した高関税措置に90日間の猶予を設定したが、中国はその対象外とされた。米中間の半導体をめぐる地政学的な緊張が今後の政策判断にも影を落とす展開となっている。
トランプ氏とNvidiaファンCEOの接触が与えた政策判断への影響

NPRの報道によれば、ホワイトハウスが進めていたNvidia製H20チップの中国企業への販売規制は、突如として停止された。その転換点となったのが、ジェンスン・ファンCEOとトランプ前大統領が出席したフロリダ州マー・ア・ラゴでの非公式なディナーである。公式発表はないが、この会合が政策方針の一時見直しに影響を及ぼした可能性は否定できない。
H20チップは、米国の厳格な輸出規制を回避するために設計された性能調整済みの製品であり、表向きには制限の対象外とされてきた。ただし、今後の政権の動き次第で再び販売停止措置が取られるリスクも残されている。現在の決定はあくまで一時的な棚上げであり、ファン氏の働きかけが長期的な販売継続を保証するものではない。
また、規制強化の動きが表面化していた中での突然の停止は、政治的意図や外交戦略が絡む可能性もあり、テクノロジー企業の対中戦略に大きな揺さぶりを与える結果となった。政策決定が非公式な接点を契機に左右されること自体が、米国の対中ハイテク政策の不安定さを浮き彫りにしている。
Nvidia株18%高騰の背景と市場心理の読み解き
今回の報道を受けて、Nvidiaの株価は水曜日に18%以上も急騰した。この動きは、H20チップ販売の継続可能性に対する市場の安心感が背景にあるとされる。また、同じタイミングで発表されたトランプ氏による関税措置への90日間の猶予発表も、市場全体の上昇に拍車をかけた。ただし、この関税緩和は中国を除外しており、根本的な米中間の緊張は解消されていない。
H20チップは性能が制限されているとはいえ、中国市場ではなお需要が高く、販売継続がNvidiaの業績に及ぼす影響は大きい。市場は、規制の緩和が今後も続くとの期待を織り込んだ可能性があるが、これは過度な楽観とも言える。実際、トランプ氏の発表は一時的措置であり、地政学的リスクは依然としてくすぶっている。
さらに注目すべきは、政策発表や企業トップの動きに即座に反応する米市場の脆弱性である。今回の急騰は短期的な反応に過ぎず、長期的な業績や規制環境の不確実性を見誤ると、投資家にとってはリスクとなりかねない。慎重な視点が今後の相場判断に求められる。
Source:Investopedia