米国市場において、テスラ株が20%以上の急騰を記録し、エヌビディアも18%以上の上昇を見せるなど、テクノロジーセクターが全面高となった。これは、トランプ大統領による関税の一時停止措置が好感された結果とみられ、主要株価指数は軒並み大幅に上昇した。

S&P500は終値で9.5%上昇、ダウ平均は8%、ナスダックは12%の上昇を記録。特に半導体関連では、ブロードコムやAMDなどの上昇によりPHLX半導体指数が約19%上昇した。

アップルは過去最悪の下落から15%以上回復し、メタ、アマゾン、マイクロソフト、アルファベットなどの主要銘柄も軒並み二桁の上昇を示した。市場全体に広がる安堵感が買い戻しを加速させた格好である。

テスラとエヌビディアが主導したテック株急騰の構図

2025年4月9日の米国市場では、テスラが午後の取引で20%以上上昇し、エヌビディアも18%以上の急騰を遂げた。これにより、いわゆる「マグニフィセント・セブン」と呼ばれる主要テック銘柄の多くが一斉に値を上げ、S&P500とナスダック指数の上昇を牽引した。背景には、トランプ大統領が先週発表した関税の一時停止措置がある。90日間の猶予が与えられたことで、市場では米中摩擦の激化懸念が後退し、投資家心理が大きく改善したと読み取れる。

また、半導体関連銘柄も急伸し、PHLX半導体指数は19%近く上昇。ブロードコム、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ、マイクロン・テクノロジーなどがこれに寄与した。AI関連技術における需要の持続と、サプライチェーンへの影響が一時的に回避されたことが評価材料とされる。アップルは2000年以来の大幅下落から急速に反発し、15%以上回復。マイクロソフト、アルファベット、メタ、アマゾンなどの主力株も軒並み10%以上の上昇となり、広範囲にわたる買い戻しが観測された。

このような動きは、単なる短期的反発に留まらず、市場全体のリスク評価の再構築を促している。米国テック株は2025年に入ってから軟調が続いていたが、今回の反発によって投資資金が再びテックセクターに向かう契機となった可能性は否定できない。

関税猶予措置が市場に与えた心理的インパクト

今回のテック株上昇の直接的な要因は、トランプ大統領による対中関税の大部分を90日間凍結するという発表にある。これにより、米中貿易摩擦の即時的なエスカレーションは回避されたとの見方が広がり、市場は安堵感に包まれた。とりわけ、グローバルに展開するテクノロジー企業にとって関税は業績への直撃となるため、その影響が限定的となるとの期待が買い戻しを加速させた格好である。

この措置は、短期的には市場のボラティリティを抑える効果があったとみられる一方で、政策の一貫性への懸念が残る。90日間という期限付きの対応である以上、企業や投資家にとって根本的な不安解消とはならない。市場の反発が一過性で終わるか、継続的な上昇につながるかは、今後の米中交渉の行方と追加政策次第といえる。

加えて、今回の株高は実体経済の改善を伴っていない点にも注意が必要である。実需や業績に裏付けられた上昇というよりは、リスク回避が一時的に後退したことによるセンチメント主導の動きであり、地政学的リスクやインフレ再燃の懸念が再浮上すれば、相場は再び荒れる可能性がある。投資判断には、引き続き慎重な材料分析が求められる局面である。

Source:Investopedia