ARK InvestのCEOキャシー・ウッドが、株価下落が続くエヌビディア株を約151,979株、総額1,500万ドルで購入した。年初来で約28.3%下落し、わずか数日前にも14%超の下落を記録していた同社株への投資は、AI市場の逆風とテック株全体の低迷を背景にした極めて大胆な決断である。

背景には、GPU市場における価格圧力や中国企業との競争、さらにはトランプ前大統領による関税発表などが影響しており、エヌビディアは業績の期待外れやアナリストからの格下げにも直面している。一方、バンク・オブ・アメリカは依然として同社の競争力を評価しており、評価は分かれている。

ARK Innovation ETFも年初来で約28.7%の下落を示しており、過去1年で約23億ドルの資金流出が続く中、今回の投資は市場不安を逆手に取った長期的視野の表れとも受け取られている。

エヌビディア株に対するARK Investの大型買い増しと背景事情

2024年に株価が一時171%上昇するなど急成長を遂げたエヌビディアは、直近では14%の急落を含め、年初来で28.3%もの下落に見舞われている。この急落局面において、ARK InvestのCEOキャシー・ウッドは約15万2,000株、総額1,500万ドル相当の同社株を取得した。買い増しは、他の投資家がテック株から手を引く中で実行されており、強気な姿勢が際立っている。

ウッドの主力ファンドであるARK Innovation ETF自体も年初来で28.7%の下落と厳しい状況にあり、昨年11月の米中間選挙後の上昇分をほぼ帳消しにしている。ファンドは過去1年間で約23億3,000万ドルの資金流出を記録し、市場の信任が揺らぐ中で今回の大型投資が断行された点は特筆に値する。

テック株全体の不振は、トランプ前大統領による新たな関税方針発表が引き金となっており、特に中国との競争が激化する中でエヌビディアは収益性と供給体制の両面において課題を抱える。HSBCはこれを踏まえ、同社の株式評価を引き下げる判断を示している。

評価の分かれるエヌビディアの将来性と逆張り戦略の真意

GPU市場での価格決定力の低下やサプライチェーンの不整合、さらに中国の新興AI勢力の台頭など、エヌビディアを取り巻くリスクは増している。特に最新決算が市場の期待を下回ったことで、株価は敏感に反応し、短期的な不確実性が浮き彫りとなった。これに対してHSBCは、競争圧力の高まりを主因に株を格下げし、慎重な姿勢を強めている。

一方で、バンク・オブ・アメリカは堅調な財務体質とAI分野における優位性を理由に、依然として同社を半導体セクターの注目銘柄と見なしている。この評価の分岐は、市場が短期のリスクと長期の可能性をどうバランスさせるかという視点の違いを映し出している。

キャシー・ウッドの買い増しは、そうした分断の渦中での選択であり、市場の動揺を冷静に分析した結果とも言える。彼女がAmazon、Coinbase、Baiduといった他の成長企業への投資も進めていることから、今回の動きは単なる投機ではなく、技術革新に賭ける中長期的な戦略の一環と見る余地がある。

Source:Watcher Guru