テスラの株価が4月9日、日中最大6.4%上昇し、市場の注目を集めた。報復関税の発表という逆風下にもかかわらず、Benchmark社のアナリストが同社株を「最良アイデア」に選定し、短期的な懸念は過剰との見解を示したことが背景にある。

目標株価は引き下げられたものの、依然として現在の株価に比べて大幅な上昇余地があるとされている。ロボタクシーの運用開始や個人用ロボット「オプティマス」のリリース計画といった将来の成長要素も評価の一因となった。

ただし、これらの事業展開には不確実性も伴い、過去の約束未達も指摘されていることから、過度な期待には慎重な見方も必要である。

株価反発の背景にあるBenchmark社の評価と新規事業の期待

テスラ株が4月9日に5%超の反発を見せた背景には、Benchmark社による評価の変化が大きく影響している。アナリストのミッキー・レッグ氏は、同社を「最良アイデア(Best Ideas)」リストに追加し、目先の売上減少にもかかわらず買い評価を維持した。目標株価は475ドルから350ドルに下方修正されたが、それでも現行水準(約230ドル)に比べて大きな上昇余地があるとの見立てが示された。

注目されるのは、テスラの今後の製品ラインアップである。2025年第2四半期には新型モデルの発表が予定されており、これが販売減少を食い止める起爆剤になり得るとされる。また、同年夏にはテキサス州オースティンでロボタクシーのサービス開始が計画されており、これがEV市場の新たな成長エンジンとなる可能性がある。

さらに、CEOイーロン・マスク氏が言及した個人用ロボット「オプティマス」の開発も視野に入る。マスク氏は年内に5,000台の製造を目指すとしており、これが実現すればテスラは単なる自動車メーカーの枠を超え、広範な自動化ビジネスへの転換を図ることになるだろう。

将来性への期待とテスラの不確実性の狭間で問われる投資判断

テスラの事業計画には目を引く要素が多数含まれているが、同時にその実現性に関する懸念も根強い。マスク氏は過去に自動運転車の実用化を早期に実現すると約束してきたが、未だに中核的な機能は市場に定着しておらず、繰り返される発言と実行との乖離は投資家の判断材料となっている。

ロボタクシーやオプティマスなど、同社が提示する未来志向の製品群は技術革新の象徴とも言えるが、それらが予定通り進行する保証はなく、市場がそれをどこまで織り込むかは不透明である。レッグ氏の強気評価はあくまで可能性に基づいており、確定的な成長ではない点に留意すべきだろう。

現時点での株価は低迷しているが、だからこそ反発時の値幅は大きくなる傾向がある。ただし、それは短期的なテクニカルな反応に過ぎない可能性もあり、事業構造や実行力の精査なしに楽観的な判断を下すことは危うい。将来性とリスクの両面を冷静に見極める姿勢が求められる。

Source:The Motley Fool