暗号資産ビットコインが象徴的な75,000ドルの水準を割り込み、24時間で5%以上の下落を記録する中、マイクロストラテジーの戦略責任者マイケル・セイラーは「HODL」の一語で反応した。
同社は約582,000BTCを保有し、特にドナルド・トランプ当選後に取得した27万BTCが大幅に評価損を抱える構図となっているが、セイラーは強気姿勢を崩していない。
一方、SEC提出書類では市場低迷が長引けばビットコイン売却も選択肢であることが示されており、彼のメッセージの背後にある戦略の現実性と投資家への影響が注視される状況にある。
セイラーの「HODL」が示す姿勢と保有資産の現実

マイクロストラテジーの戦略責任者マイケル・セイラーは、ビットコインが75,000ドルを割り込んだ直後に「HODL」とだけ投稿し、暗号資産市場で注目を集めた。この一語は、価格変動に左右されず保有を続ける投資哲学の象徴であり、セイラーが依然として強気である姿勢を如実に物語っている。事実、同社は現在582,185BTC、評価額にして403億ドル超を保有しており、そのうち275,965BTCは2024年、トランプ前大統領の再選後に平均93,228ドルで取得されたものである。
しかしながら、現在の市場価格との乖離により、約46億ドル相当の潜在的な評価損を抱える格好となっており、こうした巨額の未実現損失は企業の資産戦略に大きな影響を及ぼしうる。2025年第1四半期の時点で約59億1,000万ドルの損失が報告されていることからも、単なる価格調整という枠を超えた財務的インパクトが明らかである。
「HODL」という言葉が示す信念とは裏腹に、巨額保有によるリスク管理の必要性がますます問われており、セイラーの沈黙の裏側にある判断基準と意図が注視される局面にある。
「売却の可能性」ににじむ戦略的転換の兆し
マイクロストラテジーがSECに提出した文書によると、現行の市場低迷が続けば、一部または全てのビットコインを売却するという選択肢も排除されていないと明記されている。これは、これまでセイラーが公言してきた「ビットコインは唯一の安全資産」という信条とは明らかに一線を画す内容であり、実務上の柔軟性を残したものと捉えられる。買い増しを一時停止している事実もまた、その方針転換を裏付ける動きとして無視できない。
特に注目すべきは、売却が行われた場合「不利な価格」での処分となる可能性が高いとされている点である。巨額の保有が市場全体に与える影響を考慮すれば、その判断は他の機関投資家にも波及しかねず、ビットコインの短中期的な評価に影響を及ぼすことも十分に想定される。また、同社の株価が直近24時間で11%下落している現状は、市場がこの不確実性をすでに織り込み始めていることを示している。
セイラーの過去の発言とは裏腹に、財務状況と市場動向の狭間で戦略の再構築が迫られている現実が浮き彫りとなっている。
Source:Cointribune