AMDが開発中と噂される「Ryzen AI Z2 Extreme」は、ゲーミング携帯機向けの次世代AI強化チップとして注目を集めている。リーク情報では、Ryzen Z2シリーズに含まれる5種のプロセッサのうち、AI対応モデルが存在するとされ、IntelのAI SoCに対抗する布石との見方もある。

このチップの名称は、VideoCardzやWccftechが報じたリーカー@AnhPhuH氏の投稿から明らかになったもので、ASUSの次世代「ROG Ally 2」やXboxの新型携帯機への搭載が推測されている。MSI Claw 8 AI+などAIプロセッサ搭載機が既に高性能を示しており、AMDの動向が市場構図を大きく揺るがす可能性がある。

正式な仕様や発表は未定だが、PCゲーミング携帯機におけるAI化の流れは加速しており、競合各社の戦略と今後の製品展開に注目が集まる。

AMD Ryzen AI Z2 Extremeに見る次世代ゲーミング携帯機への布石

AMDの未発表チップ「Ryzen AI Z2 Extreme」は、既存のRyzen Z2ラインの上位モデルとされ、携帯型PCゲーミング機に特化した設計が噂されている。リーク元によれば、Ryzen Z2シリーズには「Ryzen Z2」「Z2 A」「Z2 Go」「Z2 Extreme」「AI Z2 Extreme」の5モデルが含まれ、うちAI機能を強化したバリエーションが存在する。現時点で公式に発表されたのは、Z2、Z2 Go、Z2 Extremeの3種に留まるが、これにAI構成が加わる可能性が示唆されている。

注目すべきは、このAIチップが次世代ROG Ally 2や、開発中とされるXboxの携帯型ゲーム機「Project Kennan」に採用される可能性である。ASUSが2025年3月31日に公開したティザートレーラーでは、AIを象徴するようなロボットの描写が含まれており、AI統合型チップとの関連性を予感させる。さらに、MSIがIntelのAI SoC「Core Ultra 200シリーズ」を搭載したClaw 8 AI+を市場投入し、性能で他社を凌駕している点は、AMDにとって大きな競争圧力となる。

この状況から、AMDがAI機能を持つRyzen Z2 Extremeを投入することで、ゲーミング携帯機市場における主導権を再び握ろうとしている構図が見えてくる。ただし、製品仕様や消費電力、冷却性能といった具体的な技術要素は未公表であり、実際の競争力を判断するには続報が不可欠である。

AIプロセッサの搭載がもたらすモバイルゲーミング体験の変革

AIプロセッサの導入は、従来のCPUやGPUでは補えなかった処理の最適化を可能にし、モバイルデバイスにおけるゲーム体験を根本から変える要素となりうる。特に、Ryzen AI Z2 ExtremeのようなAI SoCは、NPU(ニューラル・プロセッシング・ユニット)を内蔵し、機械学習による処理軽減や、消費電力の最適化、バッテリー寿命の延長に貢献する点が評価されている。

たとえば、MSI Claw 8 AI+は、IntelのAI統合チップにより、従来機種を上回る性能とエネルギー効率を実現しており、ASUS ROG AllyシリーズなどAMD系チップ搭載機に対して明確な優位を見せた。これは、AIアクセラレーションによってレンダリングやバックグラウンド処理の効率が飛躍的に高まった結果である。こうしたトレンドは、今後の携帯型ゲーミングデバイスにおいて標準化が進む可能性がある。

ただし、AIチップは万能ではなく、ゲーム自体のパフォーマンス向上というよりも、UIの応答性や冷却制御、電源管理といったシステム全体の快適性を高める点に強みを持つ。そのため、ゲーマーが求める高フレームレートやグラフィック性能と、AI処理の優位性をいかに両立させるかが今後の設計思想の焦点となる。AIが真の革新となるかどうかは、そのバランスにかかっている。

Source:Windows Central