MicrosoftはWindows 11のベータチャンネルにおいて、ビルド22635.5170(KB5055623)を通じてファイルエクスプローラーの大幅な安定性改善と機能調整を実施した。主な改良点は、ファイルコピーや名前変更時に発生していたクラッシュの修正、および外部リンクを既存ウィンドウ内の新タブで開く仕様の再導入である。
さらに、スタートメニューにおけるテキストサイズ拡大時の表示不具合や、リモートデスクトップ利用後に一部アプリで文字入力が不能になるエラーも解消された。これらの改修は段階的にInsiderユーザーへ配信され、Controlled Feature Rolloutにより慎重な展開が行われている。
依然として一部機能には既知の不具合が残るものの、操作性と安定性を高める今回のアップデートは、正式リリースに向けた重要な布石といえる。
ファイルエクスプローラーのクラッシュ修正とタブ挙動の復活

今回のWindows 11ベータ版ビルド22635.5170(KB5055623)では、ファイルエクスプローラーの安定性に関わる重大な修正が施された。特に注目されるのは、ファイルのコピーや名前の変更といった基本操作中に発生していたクラッシュの問題が解消された点である。この不具合はユーザーの作業効率に直結するため、修正の影響は小さくない。
あわせて、外部リンクを開く際の挙動も改良されており、以前は一時的に無効化されていた「既存ウィンドウ内のタブで開く」機能が再び有効化された。この仕様により、エクスプローラーの視認性や操作性が向上し、複数ウィンドウの乱立による作業の煩雑さを防ぐ効果が期待される。設定変更によって従来の挙動に戻す選択肢も維持されており、ユーザーごとの使い方に応じた柔軟な対応が可能となった。
これらの改善は単なる小規模修正に留まらず、日常的にファイル操作を行う現場にとって、操作の確実性と作業の連続性を確保するうえで実用的な恩恵をもたらす内容といえる。
スタートメニューと文字入力の安定性向上がもたらす実利
ビルド22635.5170では、ファイルエクスプローラー以外にも、スタートメニューや文字入力に関する複数の不具合が修正された。具体的には、テキストサイズを拡大した際に「ログオフ」や「その他のオプション」が表示されない問題、またリモートデスクトップからの復帰後に一部アプリで入力が不能となるバグが改善されている。
これらは一見地味な修正のように見えるが、日常業務において視認性の確保やリモート環境での操作継続が求められる場面では致命的となり得る。特に、視覚支援の目的で文字サイズを大きくしているユーザーにとって、操作不能となる事象の解消は作業環境の信頼性向上に直結する。
また、リモートワークの定着が進むなか、セッション切断後に文字入力ができないという不具合は、業務の遅延や再起動といった非効率を招く要因であった。今回の修正により、環境復帰時のトラブルが軽減され、作業の中断リスクも下がる。細部に手を入れる姿勢は、Microsoftがユーザー体験の質的向上を重視している姿を示していると捉えられる。
Source:Research Snipers