Microsoftは2025年10月のWindows 10サポート終了を前に、一部ユーザー環境で「時計の秒表示」を削除するテストを拡大している。これは4月のパッチKB5055518適用後に確認され、公式な告知なしにタスクバーのカレンダーフライアウトに変更が加えられた。

この「隠し変更」はRedditなどで不満の声が相次いでおり、Windows 11と同様に秒表示が省かれたレイアウトへの移行とみられる。特にWindows 10では、表示を復元するオプションが用意されておらず、レジストリ編集が唯一の回避策となる。

過去にもWordPadやPaint 3Dなどの機能が静かに削除されてきた経緯があり、今回の変更もWindows 11移行を促す布石との見方が広がっている。

カレンダーフライアウトに潜む“隠し変更” 秒表示削除が意味するもの

Microsoftは2025年10月に予定されるWindows 10のサポート終了を前に、目立たぬ形で機能の縮小を進めている。今回、4月の「パッチチューズデー」で提供されたKB5055518の適用後、一部ユーザーに対してタスクバーの時計表示から「秒」が消えるという仕様変更が確認された。この変更は公式の変更ログには明記されておらず、Windows LatestやReddit上での報告により明らかとなった。対象となるのは、Windows 10のカレンダーフライアウトで、秒単位の時間が非表示となり、視認性を重視した簡素なレイアウトに置き換えられている。

これと同様の仕様はWindows 11でも導入されており、初期設定では「秒」表示がなかったが、ユーザーの声を受けて後に設定アプリで表示を切り替えるオプションが追加された。しかし、Windows 10ではそのような選択肢が与えられておらず、表示を復元するにはレジストリエディタを操作する必要がある。ユーザーにとっては利便性の低下に加え、アップデートによる既存機能の無断改変という点でも大きな不信感を招いている。

この変更が一部のテスター環境に限定されている点からは、段階的な展開によってユーザーの反応を観察する意図が読み取れる。MicrosoftはこうしたA/Bテストを通じて最終的な仕様決定に至る傾向があるが、告知なしにユーザー体験を大きく左右する点では透明性が問われる動きと言えるだろう。

Windows 10の終焉と共に進む機能縮小 その背景にある戦略

今回の「秒表示」削除は、単なるUI変更ではなく、Windows 10というプラットフォームそのものの終焉を象徴する動きと読み解くことができる。これまでもMicrosoftは、WordPadやPaint 3Dのような長年親しまれてきた標準アプリを静かに削除してきた経緯がある。今回の変更も同様に、通知や広報なしに実施されており、ユーザーへの説明責任が置き去りにされたまま更新が進められている。

Windows 10は2025年10月に公式サポートを終了する予定であり、Microsoftはその移行を前提とした運用に完全にシフトしていると見られる。新機能の追加どころか、既存の機能さえも徐々に切り捨てられる流れは、サポート終了後の保守工数削減やWindows 11への利用者移行を加速させる目的が含まれている可能性を否定できない。特に今回の変更のように、UIの簡略化を理由とした機能削除は、今後さらに拡大することが予測される。

もっとも、これがすべて計算された上でのユーザー誘導だと断じることはできないが、Windows 10に残るユーザーに対して、「新OSへの移行なくして利便性は保証されない」というメッセージを間接的に発しているようにも映る。機能維持を重視するユーザーにとって、残された時間は限られており、選択を迫られる局面が確実に近づいている。

秒表示の価値とユーザーの反応 “些細な機能”に潜む深層心理

タスクバー上の時計における「秒」表示は、一見すれば些細な機能に思える。しかし、実際には手元の時間と他の端末の時刻を正確に同期させる際や、短時間のカウント確認、温度計測中の経過時間を測るといった日常的なシーンで役立つ実用機能である。特に精密なタイミングが求められる業務環境や個人的なルーチンにおいては、秒表示の有無が大きな差を生むこともある。

Redditでは今回の変更を受け、「なぜ無断で削除されたのか」「簡素化より機能性を優先してほしい」といった声が相次いでいる。このような反応は、単なる利便性の問題にとどまらず、ユーザー自身の環境や習慣が一方的に改変されたことに対する心理的抵抗を表している。小さな表示ひとつであっても、そこに“自分仕様”の使い方が築かれていれば、変更は不快感とストレスを生むのが常である。

ユーザーの操作感やUIに対するこだわりは軽視されがちだが、こうした機能削除がユーザー離れやブランド不信につながることは過去にも繰り返されてきた。今後、Windows 11のUI設計にも同様の簡素化路線が続くのであれば、Microsoftは透明性ある設計ポリシーと、事前告知を含めたコミュニケーションの強化を求められることになるだろう。

Source:XDA Developers