マイクロソフトは、2024年4月18日に終了予定だった「Windows Server Update Services(WSUS)」のドライバー同期機能について、サポートを継続すると発表した。企業ユーザーからの強い要望を受け、非推奨の方針を急遽延期する判断に至った。
Azure部門のシニアプログラムマネージャー、ポール・リード氏は、クラウド移行を進める一方で、制限されたネットワーク環境では依然としてWSUSの需要が高いと認識。今後の具体的な終了時期は未定としつつも、改訂されたタイムラインの準備を進めている。
多くのIT部門にとって、今回の決定は短期的な運用継続を可能にする一方、将来的な移行戦略の見直しを迫る契機となる可能性がある。
WSUSドライバー同期機能、非推奨の方針を覆した背景

マイクロソフトは、Windows Server Update Services(WSUS)におけるドライバー同期機能を2024年4月18日で終了すると告知していたが、終了予定日のわずか2週間前となる段階で方針を撤回した。この変更は、主に企業ユーザーからの反発を受けた結果とされている。特に、クラウドベースのドライバー配信サービスへの移行が進まないネットワーク制限下の環境では、WSUSの存在が引き続き不可欠であるとの声が多く寄せられていた。
Azureコンプライアンス部門のシニアプログラムマネージャーであるポール・リード氏は、「非推奨」は開発の停止を意味するが、機能としては引き続き使用可能であることを明確にし、今回の判断が一時的なものである可能性も示唆している。マイクロソフト内部では、ユーザーの利用実態と移行可能性の双方を天秤にかけた上での決定と見られる。
WSUSは長らく企業のオンプレミス運用における更新管理の要であり、クラウドへの全面移行が困難な法的・契約的制約を持つ組織にとっては、代替の効かないツールである。今回の延期は、こうした現実に向き合った結果であるが、根本的な方向性が変わったわけではない点には注意が必要である。
クラウド移行とオンプレミス依存のはざまで揺れる運用現場
ドライバー更新のクラウド移行を推奨するマイクロソフトの方針に対し、多くの現場では依然としてオンプレミス環境への依存が根強い。特に、情報漏洩やシステム改変を極度に懸念する業界や、契約上クラウド接続を禁じられている業務では、WSUSのようなローカルで完結する更新管理ツールが重宝されている。そうした企業にとって、今回の延期は時間的猶予を得た形であるが、将来的な移行計画の見直しは避けられない。
マイクロソフト側は「改訂されたタイムライン」に言及しつつも、具体的な期限や今後の対応策については沈黙を保っている。この姿勢は、クラウド利用を既定路線とした一方的なサービス設計が、現実とのギャップを生んでいることを示唆している。ドライバー同期という一見地味な機能であっても、実務レベルでは広範な影響があるため、方針の変化は単なる技術的判断にとどまらない。
長期的には、セキュリティ、コスト、運用負担の各側面からクラウド型の更新管理が望ましいという流れは変わらないが、それを実現するためには、既存ユーザーの制約と課題に寄り添った支援策が必要である。今後のマイクロソフトの対応が、技術進化と現場の現実をどう橋渡ししていくかが注目される。
Source:TechRadar