Microsoftは、WordやExcel、PowerPointなどの主要アプリのアイコン刷新に向け、選ばれた一部ユーザーに10ドルのギフトカードを報酬としたアンケートを依頼している。新デザインは従来のフラットデザインから脱却し、視覚的な奥行きを持たせたものとなっており、ブランドの象徴的要素を保ちつつも変化を模索している。

2018年以来、変更がなかったMicrosoft 365のアイコン群に対するリニューアルの動きは、同社のユーザー体験重視の姿勢を象徴している。現在はReddit上でも未発表アイコンの画像が流出しており、一部で注目を集めている。

Copilotロゴを含まないことや、アイコンごとの個性の強調など、変化には賛否が予想される。Microsoftにとって、ユーザーの初期反応を見極める今回の調査は、慎重なブランド刷新への布石と考えられる。

6年ぶりの刷新か Microsoft 365アイコンに視覚的変革の兆し

Microsoftが刷新を検討しているのは、Word、Excel、PowerPointなどMicrosoft 365の象徴ともいえるアプリ群のアイコンである。これらのアイコンは2018年から変更されておらず、実に6年ぶりのリニューアルとなる可能性がある。現在開発中の新アイコンは、従来のフラットなスタイルから脱却し、奥行きや立体感を加えたデザインへとシフトしているとされる。

Redditユーザー「jbgski」が共有した未公開アイコンの画像では、各アプリの個性をより強調したビジュアルが確認されており、従来の色違いによる識別方式から、デザインそのものに差異を持たせる方針がうかがえる。Copilotのロゴが含まれていない点も注目されており、AI統合の波が進む中でも、視覚的ブランドの一貫性を保つ意図が感じられる。

これらの変化は、単なるデザイン変更ではなく、ブランドとユーザー体験の再構築への布石である。長年にわたり慣れ親しまれたビジュアルに手を加えることは、機能的刷新以上に利用者の心理に与える影響が大きい。Microsoftは視覚表現の変革によって、ユーザーのプロダクト理解や操作直感を一段階進化させる意図があると考えられる。

限定調査とギフトインセンティブに見るMicrosoftの慎重なアプローチ

Microsoftは今回、広く公開せず、限定的なユーザーを対象としたアンケート形式によって意見を収集している。15分程度の調査参加者に対し、10ドルのギフトカードを提供するという手法は、単なるユーザー調査という枠を超えた戦略的な意味合いを持つ。無作為な情報収集ではなく、意見を持ちやすい選抜層の反応をあえて選んで求めている点に特徴がある。

Microsoftのメール文面には「本当に共感していただけるユーザー体験の創造」を掲げる一文がある。ここには、機能向上ではなく、ユーザーの「感情的共鳴」までを視野に入れた設計思想が垣間見える。デザイン刷新が視認性や判別性といった機能的側面を担うだけでなく、ブランド全体への信頼や愛着にも波及するとすれば、今回の限定調査の意味合いは極めて重い。

また、10ドルという報酬設定には、金銭的誘因というよりも「選ばれた体験者」という心理的優越感を与える要素も含まれている。Microsoftにとっては、賛否両論を呼びがちなブランド変更の初動段階で、否定的な反応を可視化することなく、改良の方向性を探るリスク回避の手段といえる。慎重かつ段階的なアプローチは、長期的にブランド資産を守る施策の一環と捉えられる。

Source:Windows Central