マイクロソフトは、Windows 11の最新Insider Preview（Devビルド26200.5516およびBetaビルド26120.3653）において、マウス設定の一部を従来の「コントロールパネル」から「設定」アプリへと移行させる新たな動きを見せた。ポインター画像の変更や軌跡表示、入力中の非表示オプションといった設定が、「アクセシビリティ」ページから直接変更可能となる。

この改変は、Windows Server Preview Buildで先行導入されていた機能をコンシューマー向けにも拡張した形であり、将来的な安定版への反映を強く示唆している。新機能はViveToolを用いることで手動で有効化可能だが、デフォルトでは非表示にされている。

旧来の操作体系に慣れ親しんだユーザーにとって、こうした仕様変更は混乱を招く一方で、統合された設定環境を志向するマイクロソフトの方針がより明確になった。

Insider Previewビルドが示す設定移行の既成事実化

マイクロソフトは、Windows 11のDevビルド26200.5516およびBetaビルド26120.3653において、マウス設定機能を「設定」アプリへと段階的に移行させている。ポインターのデザイン変更、ポインタートレイル、入力時のポインター非表示といった従来「コントロールパネル」内に限定されていたオプションが、「アクセシビリティ」セクション内で統一的に管理できるようになった。これはユーザーインターフェースの簡素化と視認性向上を狙った措置と見られる。

この変更はInsider Previewの枠内に留まっているものの、昨年のWindows Server Preview Build 26376における先行実装とも一致しており、マウス設定の再編は単発の試みではない。加えて、ViveToolによる機能の手動有効化も必要である点から、マイクロソフトは慎重に段階的な導入を図っていることがうかがえる。こうしたプロセスは、安定版リリースへの布石と考えるのが妥当であろう。

旧来のUIに依存した操作体系は徐々に排除されつつあり、コントロールパネルの存在感は着実に薄れている。ユーザーが新しいUI環境への適応を迫られる一方で、設定の可視化やアクセス性の改善は、全体としてのユーザー体験の質向上につながるとの見方もある。

ViveToolの活用とユーザー主導の設定管理

今回のビルドにおいて、新たなマウスオプションはデフォルトで非表示となっており、「id:54273186」をViveToolでアクティベートすることで初めてアクセス可能となる。この仕様は、Insider向け機能が全ユーザーに即時開放されないことを意味し、依然として一部の高度な利用者に限られた設定項目であることを示している。一般ユーザーが無意識に変更することのないよう、意図的に段階的な公開を行っている可能性がある。

ViveToolのような手動ツールを必要とする構造は、機能検証を目的とした技術的な制御と見ることができる。これにより、特定の構成下での安定性や互換性を確認しながら、将来的な標準機能化に向けた土台を築いている。マイクロソフトはInsiderコミュニティとの対話を通じて実装の練度を高めていると解釈できる。

こうした機能の隠蔽と開示のバランスは、開発段階にあるOS設計の慎重さを物語っている一方、ユーザーによる能動的な設定管理能力もまた求められている。利便性の一元化とカスタマイズの柔軟性という、相反する価値を同時に追求する構造的ジレンマが垣間見える。

Source：XDA