Microsoftは、Intune環境におけるWindows 10および11の機能更新トラブルを解決するため、ステップバイステップの包括的なガイドを発表した。ガイドでは、アップデートリング構成、ポリシーの競合対策、セーフガードホールドの回避策などを明示。

Intune管理センターを活用し、診断データやイベントログから原因を特定する手順も詳述されている。複雑なハイブリッド構成やAutopatchとの連携にも言及し、実務担当者が更新失敗の真因に迅速に辿り着けるよう構成されているのが特徴だ。

Intune環境下のアップデート障害に対応 Microsoftが提示した実践的アプローチ

Microsoftが公開した今回のガイドは、Intuneを活用してWindows 10および11の機能更新に関する問題を解決するための実用的な手引きである。執筆者はMicrosoft Intune部門のセキュリティ顧客エスカレーションエンジニアであるLuke Ramsdale氏で、現場のトラブル解決に精通した専門家の視点が随所に反映されている。手順は、ライセンスやエディションなどの前提条件の確認に始まり、アップデートリングの設計、セーフガードホールドの検出と解除、さらにIntune管理センターでのトラブル報告の活用にまで及ぶ。加えて、イベントログやレジストリの確認、MDM診断レポートの取得など、クライアント側からの情報収集も丁寧に網羅されている。

この構成は、以前Microsoftが示した「Windows 11にアップデートできないデバイスのチェックリスト」に似ており、問題発生時に段階的に原因を追跡するアプローチが徹底されている。特に注目すべきは、最近のWindows 11 24H2におけるSenseShieldソフトウェアとの非互換による更新ブロックのような、具体的な障害事例を明示している点である。技術者が現実の場面で直面し得る障害を踏まえたガイドとして、日々の運用に即した内容となっている。

アップデートポリシーの一元管理が鍵 複雑化する管理環境への警鐘

本ガイドでは、IntuneとMicrosoft Entraを併用したハイブリッド参加デバイス環境において、アップデートポリシーの競合がトラブルの一因となり得ることが明確に指摘されている。たとえば、グループポリシー、Configuration Manager、Intuneといった複数の構成ソースが同時に機能更新ポリシーを配信する状況では、設定の競合によって意図しない動作が発生するリスクがある。Microsoftはこれに対し、アップデートポリシーは可能な限り単一のソースから配信すべきであり、やむを得ず複数を使用する場合には、スキャンソースグループポリシーの適切な活用を促している。

複雑化する管理基盤の中で、各ソリューション間の整合性を保つことは、機能更新の成功率を左右する重要な要素となる。また、Windows Autopatchとの連携についても、Graph APIやPowerShellコマンドレットを用いた確認手法に触れてはいるが、それを必須とはしておらず、あくまでIntuneによる自動構成が基本線とされている点は実務上の参考になる。ポリシーの一元化と明瞭な適用管理は、今後のWindowsアップデート運用の中核を成すものといえよう。

Source:Neowin