Appleは2025年6月のWWDCで発表予定のwatchOS 12において、AI機能「Apple Intelligence」とvisionOSに着想を得た新インターフェースの導入を検討しているという報道が出ている。新機能としては通知要約の視認性向上、Genmojiの生成機能、改良されたSiri体験が挙げられ、ハードウェア要件から次世代Apple Watch Ultraへの限定展開も示唆されている。

ただし、情報源であるThe Verifierの過去の実績にはばらつきがあり、今回の内容についても信ぴょう性には慎重な見方が求められる。

visionOSのデザイン要素がwatchOSにも波及か

watchOS 12では、iOS 19で導入予定とされるvisionOSに着想を得たインターフェースの要素が一部組み込まれる可能性が指摘されている。具体的には、影や奥行き感、ガラスのような透過表現が検討されているとされ、視覚的な洗練を狙った刷新と見られる。

ただし、現時点で伝えられている範囲では、変更は控えめで、主にメニューやボタン、アイコンなどに限定される模様だ。この背景には、2023年に実施されたwatchOS 10の大規模なUI再設計がある。Appleはすでに一度、Apple Watchの操作性を大幅に見直しており、今回のwatchOS 12ではさらなる抜本的変更は控えられる可能性が高い。

その一方で、BloombergのMark Gurmanが示した「OS間のUI一貫性」という方針と整合性を持たせる動きとして、visionOS風デザインの段階的展開は理にかなっているといえる。Appleは、iPhoneやMacだけでなく、Apple WatchにおいてもUIのトーンを統一することで、ユーザー体験のシームレス化を目指している。

watchOS 12における変化は控えめであっても、これは全OSに共通する設計哲学の一端と位置づけることができるだろう。

Apple Intelligenceの搭載とその技術的な制約

AppleはwatchOS 12において、通知の要約表示、新しいSiri体験、Genmoji作成機能といったApple Intelligence由来の機能を一部導入することを検討しているとされる。しかし、現時点でApple Intelligenceが8GBのRAMを必要とするとの情報がある中で、既存のApple Watchにおけるハードウェア性能との整合性には疑問が残る。

報道によれば、AI機能の本格的な展開は、次世代のApple Watch Ultraに限られる可能性がある。これは、同モデルがより高速なプロセッサと大容量メモリを搭載する見通しであることに起因する。ただし、現行モデルに対する機能の制限はユーザーの期待を裏切るリスクも孕んでおり、Appleとしても慎重な対応が求められる局面である。

こうした制約は、Appleが展開する「すべてのデバイスでの統一的なAI体験」というビジョンに対する現実的な壁を浮き彫りにしている。仮にwatchOS 12で限定的な実装に留まる場合、ユーザー側の受け止め方次第では新製品購入への誘導策と見なされる可能性もある。Appleがどうバランスを取るかが注目される。

Source:9to5Mac