2025年4月のWindows 11および10向け更新(KB5055523/KB5055518)適用後、IIS未導入の環境に「inetpub」フォルダが自動作成されたとの報告が相次いでいる。

本来ウェブサーバー関連ファイルの保存に用いられるこのフォルダは空で、SYSTEMアカウントによる生成が確認されており、ユーザーの手動操作によるものではない。マイクロソフトは意図的な仕様であることを認めているが、目的や今後の運用方針については詳細な説明を避けている。

ユーザーの間では不要なファイルの蓄積やセキュリティへの影響を懸念する声もあるが、現時点ではシステムへの悪影響は確認されておらず、削除しても問題は発生していないとされる。ただし、マイクロソフトはフォルダを削除しないよう注意喚起しており、その扱いには慎重を要する。

inetpubフォルダの自動生成は意図的仕様と判明 マイクロソフトの対応に注目集まる

2025年4月に配信されたWindows 11のKB5055523およびWindows 10のKB5055518更新プログラムの適用後、一部のユーザー環境において「inetpub」フォルダが突如として出現する現象が確認された。このフォルダは通常、Internet Information Services(IIS)を利用するシステムに自動生成されるが、IISを有効にしていない状態でもC:ドライブ直下に現れるケースが報告されており、混乱を招いている。

マイクロソフトはこの挙動が意図的なものであると公式に認めているが、その目的については明らかにしていない。該当フォルダは空であり、SYSTEMアカウントによって生成されていることから、手動による誤操作や外部要因によるものではなく、更新プログラムに起因する挙動と見られている。

一部のユーザーはinetpubフォルダの削除を試みているが、現時点では削除による不具合は確認されておらず、システムパフォーマンスやセキュリティへの影響も報告されていない。ただし、マイクロソフトは削除を推奨しておらず、無害であることを前提に保持するよう呼びかけている。

背景にある実装意図や将来的な利用計画が明示されない限り、企業IT担当者や管理者にとっては不可解な要素として対応が求められ、今後の透明性ある説明が期待される。

IIS非使用環境でも発生する挙動に潜む設計上の意図とは

inetpubフォルダの出現はIIS機能の有効化に起因するものであるという従来の常識と矛盾しており、今回のアップデートに何らかの前提条件や内部フラグの変更が加えられた可能性が否定できない。

実際に「Windowsの機能」からIISのステータスを確認しても無効化されたままであるにもかかわらず、フォルダのみが生成されている状況は技術的に説明が困難であり、内部的な仕様変更や準備段階的な実装が含まれている可能性が指摘されている。

また、SYSTEMアカウントによる作成という点から、管理者権限下でのみ動作するインストールスクリプトや、非表示のタスクによる自動生成処理が暗黙的に組み込まれたものとも推察される。

現時点でinetpubフォルダにはログファイルや構成データが存在せず、IIS特有の仮想ディレクトリ構造も再現されていない。これは従来のWebサーバー利用とは異なる目的でのディレクトリ確保、あるいは将来的に統合される可能性のある管理機能やクラウド連携サービスとの橋渡し的構造体である可能性も残る。

マイクロソフトが過去に展開したOneDriveやEdgeの統合プロセスに見られたように、段階的なファイル配置や事前準備的なフォルダ生成を経て機能展開を行う手法が採られることも多く、今回の挙動も類似の方針に基づくものであると考える余地がある。

Source:Digital Trends