マイクロソフトは、Windows Insider向けに提供したWindows 11の最新リリースプレビュービルドにおいて、更新時間の予測表示を含むWindows Updateの改善を導入した。これは、macOSで先行している機能に近く、ユーザーが再起動やインストールにかかる時間を事前に把握できるようになる。

また、Copilot+に新たに追加された「Recall」は、作業中のスナップショットを自動取得し、過去のファイルや行動履歴を検索可能にするもので、Windows Helloの本人確認と特定ハードウェア要件が必要となる。

加えて、ファイルや設定をあいまいな説明でも検索できるWindows Searchの精度向上や、「Click to DO」によるコンテキストベースの操作提案機能も実装されたが、これらの展開は段階的に進められる見通しである。

更新時間の予測表示でWindows Updateの利便性が向上

Windows 11の最新リリースプレビュービルドにて導入された更新時間の予測表示は、PCがオフラインになると予測される時間を基に、インストール所要時間の目安を明示するものである。この機能は、設定画面およびスタートメニューの電源オプションから確認可能となり、再起動に伴う業務中断を最小限に抑える配慮がなされている。

macOSでは既に類似の仕組みが採用されており、Windowsにおける今回の実装は、ユーザーの計画的な作業進行を支援する手段として注目される。実際の所要時間が事前にわかることで、業務環境におけるアップデート対応の柔軟性は格段に向上する。

一方で、すべてのシステム環境で正確な予測が保証されるわけではなく、適切な推定にはMicrosoftによる継続的な最適化が前提となる。今後の正式実装にあたっては、予測アルゴリズムの精度や、適用対象となるWindows構成の拡張が課題となる可能性がある。ただし、ユーザーの操作体験に与える影響を考慮すれば、更新時間の可視化という方向性自体は、広範な環境での運用に資する設計と評価されよう。

Recallによる作業履歴検索機能とセキュリティ要件

Copilot+に統合されたRecall機能は、ユーザーの操作画面を定期的に記録し、その履歴からファイル名や表示内容を遡って検索できる仕組みを提供する。例えば、数日前に閲覧したカフェの名前を再確認したい場面などにおいて、有用な補助となる設計である。ただし、この機能の利用にはWindows Helloによる本人認証が必須であり、加えてPC側にも一定のスペック要件(Copilot+対応デバイス)が求められる。

この仕様は、利便性とプライバシー保護の両立を志向した結果と見られる。画面記録に対する懸念を払拭するため、ユーザー自身がデータアクセスに対する制御権を持つ設計とされており、記録されたスナップショットが勝手に外部送信されることはないとされている。今後の展開において、Recallが業務用途に浸透するためには、企業向けポリシーとの整合性や、記録範囲のカスタマイズ性向上が鍵を握ることになるだろう。

コンテキスト感知型のClick to DOが示す操作提案の方向性

新たに追加されたClick to DOは、ユーザーの現在の操作対象に応じて、最適なアクション候補を提示する機能である。例えば、画像を選択すれば「背景の削除」や「オブジェクトの消去」といった処理を適切なアプリと共に提案することで、直感的かつ迅速な操作誘導を実現している。このアプローチは、従来のWindows UIにおける「次に何をするべきか」が不明確であった問題への解答とも言える。

ただし、この機能の本格展開はプレビュー段階に留まっており、動作の安定性や対象範囲の明確化には課題が残る。アクション候補が常に正確とは限らず、誤誘導や冗長な提案が作業効率に影響を及ぼす懸念もある。そのため、Click to DOが実用的な支援ツールとなるためには、機械学習モデルの最適化やユーザーごとの利用履歴に基づくパーソナライズの精緻化が今後の重要な課題となると考えられる。

Source:XDA