マイクロソフトは、Windows 11のInsider向けにKB5055627を含むRelease Previewビルド26100.3902を公開した。本ビルドでは、Windows Updateの可視性向上として、アップデート中のオフライン時間が設定画面で確認可能となる改善が実装された。
また、AI活用による「Recall」や「Click to Do」といった新しい検索・操作機能、「Improved Windows Search」も段階的に提供されており、ユーザー体験の進化を予感させる内容となっている。
一方で、アップデート適用後にWindows回復環境(WinRE)が正常に動作しない既知の不具合も報告されており、安定性の観点では今後の修正動向に注視が必要である。
RecallとClick to Doが示す次世代操作体系の方向性

KB5055627に含まれるWindows 11の新機能「Recall」と「Click to Do」は、AIによる文脈理解を前提とした操作体系の進化形と位置づけられる。Recallでは、過去に閲覧したアプリやウェブサイト、ドキュメントを含むユーザー行動履歴をAIが参照可能にし、検索効率の飛躍的向上が期待される。
一方、Click to Doは視覚情報から即座にアクションを取るインターフェースを提供しており、例えば画像からの背景削除といった高度な操作を直感的に実行できる環境を整えている。いずれもプレビュー段階ではあるが、マウスやキーボード中心の操作から、視覚とAI補助を軸とする新たなUXへの転換を示唆している。
こうした機能群は、特定の業務アプリケーションへの応用を想定すれば即効性を持たないが、長期的には情報整理と作業導線の自動化を通じて生産性を高める可能性を秘めている。ただし、段階的展開であること、また操作履歴の扱いがユーザーのプライバシーにどのように影響を及ぼすかといった点については、今後のフィードバックと運用設計に依存する部分が大きい。
アップデートによる可視性強化と既知のWinRE問題
KB5055627では、Windows Updateの進行状況に関する情報提供が強化された。従来ブラックボックス化していたアップデート中のオフライン時間が、設定画面で事前に明示されるようになった点は、ユーザーの業務スケジュール設計や再起動タイミングの管理において、実務的な利便性向上と評価できる。この変更は、Windowsの更新がユーザー体験に及ぼす不確実性を軽減する意図と読み取れる。
一方、インストール後にWindows回復環境(WinRE)が動作不良を起こす可能性が明示されており、問題修正は次回更新に委ねられている。特に「Windows Updateで問題を修正する」オプションが利用できない状況は、緊急対応を必要とする業務環境にとっては懸念材料となる。Updateプロセスの信頼性はシステム運用の根幹であるだけに、この種の既知不具合は透明性ある周知と迅速な修正対応が求められる局面である。
Source:Neowin