Windows 11の一部ユーザー環境で、Cドライブに突如現れる「inetpub」という空のフォルダーが話題となっている。これはMicrosoftが提供する「Internet Information Services(IIS)」の関連ディレクトリであり、消費者向けには通常無効な構成である。発生原因はKB5055523を含む最近のアップデートに起因する可能性があるが、Microsoftからの正式な説明はなく詳細は不明のままである。
フォルダーは無害であり、削除してもシステムに悪影響を及ぼすことはないとされている。多くのユーザーが不審なマルウェアや外部攻撃を疑う中、冷静な対処が求められる。Microsoftの品質管理に疑問の声もあるが、技術的な実害は伴わないため過剰な反応は避けるべきである。
「inetpub」フォルダーの由来とIISとの関係性

「inetpub」フォルダーは、Microsoftのウェブサーバー機能「Internet Information Services(IIS)」のために設計された既定ディレクトリである。IISは企業や開発者がWindows上でWebコンテンツをホストするためのサービスとして長年利用されてきたが、Windows 11の一般ユーザー環境では通常無効化されており、標準的な用途では目にする機会は少ない。
今回の事例では、特定のユーザー環境においてWindows 11の更新後、Cドライブ直下に空の「inetpub」フォルダーが自動生成されたことが報告されている。これはセキュリティパッチKB5055523適用後に生じたものである可能性が示唆されているが、Microsoftからの公式な説明やパッチノートには一切の記載がない。
発見されたフォルダーは内容が空であり、稼働中のプロセスやバックグラウンドの通信を伴っていないため、悪質な挙動とは無縁である。従って、システム管理者や利用者が削除してもWindowsの動作に影響は及ばない。ただし、その存在理由が明示されていない以上、監視下に置くべきとの意見も一定数存在する。
原因不明のファイル生成と品質管理に対する不安
Microsoftは近年、Windows Updateに伴う不意の挙動や予期せぬ仕様変更が度々指摘されており、今回の「inetpub」フォルダー自動生成もその延長線上にあると受け止められている。ユーザーの中にはマルウェア感染や遠隔操作を疑う声も散見され、情報の透明性に欠けることが不安を助長している。
また、今回のケースにおいては明確な動作理由や再現条件が公式に示されておらず、結果的に不必要な混乱を招いている。特に企業ネットワークやシステム運用においては、不要ファイルの発生がセキュリティ上の監査対象となり得るため、事前の告知と説明責任が重要である。
フォルダー自体はシステムに悪影響を与えないとされているが、情報開示が遅れることで本来不要なセキュリティ対策やユーザー側の対応工数が発生している。こうした問題は、Windowsプラットフォームの信頼性を損なう要因となり得るため、継続的な品質保証体制の再構築が求められる。
Source:Laptop Mag