Nvidiaの未発表GPU「RTX 5060 Ti」に関するGeekbench 6のベンチマークが流出し、現行のRTX 4060 Tiに対して最大14%の性能向上が示された。Vulkan APIでのスコアは14万を超え、フレーム生成技術の強化や16GB VRAM搭載モデルの登場も予想されている。

一方、米中関税や流通事情を背景に、同製品が小売価格で安定供給されるかには不透明感が残る。過去のRTX 5070 Tiがリファレンスモデル不在で価格高騰した例もあり、5060 Tiが普及するには価格戦略の巧拙が決定的となる。

Nvidiaが適正価格で投入できるか否かが、今回の性能向上の評価を左右する要素になるだろう。

最大14%の性能向上とMulti-Frame Generationの導入

RTX 5060 Tiは、Geekbench 6上のVulkanベンチマークで140,147ポイントを記録し、RTX 4060 Tiの122,534ポイントと比較して最大14%の性能向上が示された。

このスコアは、VulkanとOpenCLの両APIで測定されており、特にVulkanは多数のゲームタイトルで採用されている実用性の高い指標である。加えて、新たなRTX 5000シリーズには、AIによる補間技術「Multi-Frame Generation」が実装されており、元フレーム間に生成フレームを挿入することで描画品質と応答性を向上させる設計となっている。

この技術の導入は、単なるベンチマーク数値の向上にとどまらず、実際のゲームプレイ環境における体感性能の改善を意味する。しかしながら、このフレーム生成機能は最新のドライバ環境と密接に連携しており、現時点では安定性に課題も残る。従って、真価を発揮するのはドライバ最適化後となる見込みである。性能向上の数値は明快である一方で、体感上の効果には環境依存の幅があることを認識すべきである。

16GB VRAM搭載と128ビット構成の構造的な違和感

RTX 5060 Tiには、16GB VRAM搭載モデルの登場が噂されており、これは上位モデルであるRTX 5070の12GBよりも多い容量である。

興味深いのは、5070が192ビットメモリバスを採用しているのに対し、5060 Tiは128ビット構成であるとされている点である。この組み合わせは、容量こそ多いが、メモリ帯域幅では下位構成となる可能性がある。理論的には、128ビットのバスでは帯域不足となり、16GBのVRAMをフルに活用することは難しい。

このような設計は、容量が増えたことでユーザーに「強化された印象」を与える一方で、実効性能に直結しない構成である懸念も拭えない。特に、GPUアーキテクチャがVRAMの速度と容量のバランスに依存する中で、この構成は中長期的な性能維持という観点で再検討を要する可能性がある。容量と帯域の乖離が、スペックシート上の魅力と実際の処理能力の間に乖離を生む恐れがある点は注意すべきであろう。

Source:TechRadar