ASUSは、GPU Tweak IIIの最新バージョン1.9.4.3において、ROG AstralおよびMatrix RTX 50シリーズ向けに「Power Detector+」警告機能を追加した。これは16ピン電源ケーブルにおける電力供給の不均衡を検出し、ユーザーに警告を発するというもので、過熱や溶解などの重大事故の予防に寄与する可能性がある。
この機能は、従来問題視されてきた12VHPWR/12V-2×6ケーブルに関連する電力トラブルの回避に有効とされ、GPUユーザーにとって実用的な保護手段となる。なお、同機能は専用のハードウェアを要するため、下位モデルのRTX 50シリーズには対応していないが、安全性を重視するPC構築者にとって注目すべき進化といえる。
「Power Detector+」が防ぐ電力供給異常の実態とその重要性

ASUSが新たに導入した「Power Detector+」は、ROG AstralおよびMatrix RTX 50シリーズGPUにおいて、16ピン電源ケーブルの電力供給が不均衡であることを検出し、警告を発する機能である。対象モデルは最新世代のハイエンドGPUに限定され、この機能の追加によって、12VHPWRおよび12V-2×6規格のケーブルに起因する溶解・過熱事故の予防が図られる。ユーザーは警告表示後にシステムを停止し、電源ケーブルの再接続を行うことで、トラブルの回避が可能となる。
この機能は、Videocardzによる初報以降、ハードウェアコミュニティ内でも注目を集めており、PC構築時の安全性向上策として受け入れられつつある。特に、近年報告が相次ぐ16ピンコネクタの物理的トラブルを踏まえれば、ASUSが提示するこの警告機構は、現行のGPU設計上に残されたリスクへの有力な対応策といえる。結果として、同シリーズは電源周辺の信頼性において業界内でも際立った存在となった。
ASUSが示す高品質志向と製品設計への戦略的意図
「Power Detector+」は単なる安全装置ではなく、ASUSが製品設計においていかに高い信頼性と品質保証を重視しているかを示す象徴的な機能である。ハードウェア側に専用の検出構造を組み込むという設計方針からも、ASUSが下位モデルとの差別化を図り、上位モデルに付加価値を持たせる戦略が読み取れる。これはコスト効率に優れた開発というよりも、ブランド価値の維持・強化を優先した結果といえる。
また、GPU Tweak IIIにこの機能を統合したことにより、ソフトウェアとハードウェアが連携してユーザーを保護するという、統合的な安全設計の姿勢が明確となった。単体GPUの性能だけでなく、システム全体の安定性と長期的な使用環境を見据えた設計思想が根底にある。今後、こうした機能が他メーカー製GPUでも標準化されるか否かが注目されるが、少なくとも現時点では、ASUSが先手を打った格好となっている。
Source:OC3D