Googleが配信を進めるAndroid向けChrome 135では、従来の余白を排除した「エッジ・トゥ・エッジ表示」が実現し、画面下部のナビゲーションバー領域までコンテンツが流れる仕様に変化した。

従来は不透明な背景に覆われていたジェスチャーバーがコンテンツ上に浮かぶようになり、見た目の一体感が向上。Android 15が推進する新たなUIトレンドへの適応が進み、Chromeもようやく追いついた形だ。

ジェスチャーバーの浮遊化と表示領域の拡張がもたらす視覚的変化

Chrome 135では、ジェスチャーナビゲーションバーの背後にあった不透明な背景が取り除かれ、バーそのものがコンテンツの上に浮かぶような設計に刷新された。この変更によって、ユーザーがスクロール中に目にする画面下部の構成が一新され、従来の「切れ目」のような印象が解消される。ウェブページの表示領域自体が物理的に増えたわけではないが、画面全体が1枚のキャンバスのように見えるようになり、体感としての没入感が大幅に高まる。

この仕様変更は、すでにPixelシリーズを中心に展開されているAndroid 15が推進する「エッジ・トゥ・エッジ表示」に則ったものであり、Googleの設計方針の一貫性が見て取れる。これまでChromeはこうした表示仕様への対応がやや遅れていたが、ようやくシステムの潮流に追いついた形となった。Androidアプリの中でも最も使用頻度が高いChromeにこの改良が加わったことは、日常の操作感における変化として多くの人がすぐに体感する可能性がある。

一方で、旧来の3ボタンナビゲーションを使っている端末ではこの機能は反映されない。こうした操作方式の違いによる視覚体験の差は、今後のナビゲーションUI選択の基準に影響する可能性もある。ただ、こうした切り替えを段階的に行っているのもGoogleの特徴で、全体としてのバランスが取られている印象を受ける。

なぜ今Chromeは「端から端まで」に対応したのか

Chromeが今回のバージョン135で「エッジ・トゥ・エッジ」表示に対応した背景には、Android 15のUI方針に沿った動きがあると見られる。Androidでは数年前からシステム的には画面の端まで活用できるようになっていたが、Chromeを含む多くのアプリはこの仕様を積極的に採用してこなかった。その理由として、アプリ開発側の対応負荷や、意図せぬ視覚的な崩れを防ぐための保守的な設計思想があったと考えられる。

しかし現在は、スクリーンサイズの大型化やベゼルレス設計が進む中で、余白の少ないインターフェースが求められるようになっている。特にスマートフォンの縦長化が進んだことで、限られた表示空間を最大限活用するニーズが強まり、視覚的に「端まで表示される」ことの価値が高まっている。そうした潮流を受け、Google自身が開発するChromeもその仕様に適応するタイミングを迎えたと見るべきだろう。

とはいえ、この変更はアプリのアップデートではなくサーバー側で制御されており、すべてのユーザーに一斉に適用されるものではない。こうした段階的な提供方法からは、表示上の不具合や端末ごとの差異に対する慎重な対応姿勢がうかがえる。また、タブレット端末は今回の対象外であることから、画面サイズやUI構成ごとの最適化が今後の課題として残っているとも言える。

Source:Android Police