Netflixは4月17日に予定される2025年第1四半期決算発表を前に、年初来プラス圏を維持しながら約51%の年間上昇を記録している。有料会員数の着実な増加と広告付きプランの急成長が収益拡大を支えており、EPS予想は前年同期比8.71%増の5.74ドルと見込まれる。

2024年には4,100万人の新規加入者を獲得し、ユーザーの平均視聴時間も高水準を維持。広告主の支持を背景に、同社はさらなるマネタイズ強化を図っている。一方で、景気後退への懸念や広告費の削減圧力といった不確実性も残されており、決算内容次第で今後の評価が左右される可能性がある。

広告付きプランと平均収益の成長が牽引する売上構造の変化

Netflixは2024年に4,100万人という過去最多の新規加入者を獲得し、その勢いを維持したまま2025年に突入している。中でも注目されるのが、広告付きプランの急速な拡大と、1会員あたり平均収益(ARM)の上昇である。2024年第4四半期には、広告付きプランの加入者数が前期比30%増を記録し、広告主からの評価も高まりを見せている。これにより、広告事業は同社にとってサブスクリプション以外の安定した収益源として急成長中である。

広告付きプランは新規加入者の過半数に支持されており、価格面での魅力と広告主側のターゲティング精度が両立することにより、Netflixの提供価値を拡張している。加えて、広告ビジネスの季節性や価格改定のタイミングに関する経営陣の説明も説得力を持ち、収益変動要因の透明性向上に寄与している。

他方で、マクロ経済の不確実性により広告費の削減が再び起こるリスクは無視できない。特に景気後退局面では、広告主の予算が制限されやすく、収益への圧力が高まる可能性がある。ただし、Netflixの広告オファリングが深化すれば、逆に効率的な広告配信先としての相対的価値が高まり、広告費のシェアを取り込む余地も生まれると考えられる。

有料会員の視聴時間拡大とオリジナルコンテンツ戦略の相乗効果

Netflixの業績好調を支えているもう一つの柱が、有料会員による視聴時間の増加である。前回の決算報告では、加入者が1日平均2時間を同社コンテンツの視聴に充てていることが判明しており、この高いエンゲージメントは同社の独自コンテンツ戦略の成果と位置付けられる。オリジナル映画やシリーズに加え、ライブイベントの展開も進んでおり、他社との差別化を図る上で不可欠な要素となっている。

この視聴時間の伸長は、加入者の継続率を高め、ARMの向上にもつながる。視聴時間が長いほどプラットフォームの利用価値は高まり、競合への乗り換えを抑制する効果があるため、コンテンツへの投資は単なる話題づくりにとどまらず、収益力の中核に直結しているといえる。

ただし、コンテンツ制作には莫大なコストが伴い、戦略的な値上げによる利益率の確保が不可欠となる。実際、米国など主要市場では段階的な価格引き上げが行われており、これにより収益性と投資余力を両立させる姿勢が読み取れる。高品質な映像作品と継続的な価格改定のバランスをどう維持するかが、今後の競争優位を左右する重要な論点である。

Source:Barchart.com