AI市場の焦点がインフラから消費者アプリケーションへと移行する中、Piper SandlerはNvidiaに代わる新たな成長株としてDuolingo、Reddit、Operaの3社に注目している。2025年から2030年にかけて消費者向けAI市場が6倍以上に拡大する見通しの中で、これらの企業はAI機能の統合や収益成長、ユーザー数の急増といった具体的な成果を上げている。

各社ともに生成AIや対話型エージェントを活用した製品強化を進め、教育、SNS、ウェブブラウジングといった実生活に密着した分野で競争優位性を築きつつある。粗利率や広告収益の構成比に課題は残るものの、アナリストからの強い買い推奨が並ぶことからも、次のAI成長局面における戦略的銘柄と位置づけられる。

消費者向けAI市場の急拡大と投資対象の地殻変動

Piper Sandlerは、インフラ主導型のAI投資が一巡し、2025年以降はアプリケーション層が中心となる「次のAIの波」が到来すると指摘する。この転換点において、Duolingo、Reddit、Operaの3社が注目される背景には、生成AIや対話エージェントを各分野に実装する動きがある。教育、SNS、ウェブブラウジングといった日常的な利用環境において、AIの直接的価値が可視化される段階に入っていることが大きい。

Duolingoは会話型AI機能を組み込んだ語学学習体験を強化し、Redditは信頼性の高いユーザー生成情報とAIによる検索強化を融合させた。一方、Operaは独自のAIブラウザ機能により、閲覧体験を進化させる立場にある。これらの企業が担うのは、単なる技術の先端性ではなく、ユーザーが実際にAIの恩恵を受ける具体的な接点を提供する役割である。

市場規模の予測としても、消費者向けAI市場は2025年の150億ドルから2030年には1,000億ドルを超えるとの試算が出ており、これは推論コストの低下と普及スピードの加速が背景にある。Piper Sandlerの推奨は、大規模なインフラではなく、軽量なAI統合を通じてユーザーエクスペリエンスを変革するプレイヤーへの資本移動を示唆している。

Duolingo・Reddit・Operaの収益構造と評価の分岐点

3社に共通する特徴として、AI機能の導入によるユーザー体験の向上が挙げられるが、その一方で収益構造や市場評価には明確な違いが表れている。Duolingoは第4四半期において前年比38.8%の増収を記録し、ユーザー数も飛躍的に拡大したが、AI関連コスト増により粗利率が1.2ポイント下落した。ガイダンスが控えめだった影響で株価は発表直後に17%下落している。

Redditは広告依存度が高く、第4四半期の収益の約92%を広告が占める。一方でAIを活用した「Reddit Answers」や広告自動生成機能によって収益の質的改善を目指している。2025年のEPS予想は黒字転換となる1.16ドルが示されており、株価目標平均は現価格比で70%高とされるなど、ポテンシャルに対する期待が反映されている。

Operaは小規模ながらも収益成長が堅調で、AIブラウザ「Opera One」や広告事業のAI強化が奏功している。Adjusted EBITDAが前年比18.9%増であったほか、配当利回り5.73%という高水準も特徴である。評価面でも全アナリストが「強い買い」を付けており、利回りを重視する投資家層に訴求するポジションを構築している。企業ごとに収益性や成長性の質が異なる点を把握することが、投資判断においては不可欠である。

Source:Barchart