バークシャー・ハサウェイの保有資産の約20%が、コカ・コーラ、オキシデンタル・ペトロリアム、クラフト・ハインツの3社に集中している事実は、ウォーレン・バフェットが配当の安定性と企業の堅牢性をいかに重視しているかを如実に物語っている。

KO株には10.5%もの比率を割き、62年連続の増配実績と財務成長を評価し続けているほか、OXY株は原油販売増と利益拡大による「実利ある成長性」を背景に保有比率を4%にまで高めた。さらにKHC株は5.39%の配当利回りというインカム投資の王道を体現し、バリュエーション指標からも割安感が強い。

これら3銘柄の選定には、ボラティリティの少ない現金収入の確保と、長期保有に適した業態への信頼が見て取れる。株式市場の短期的な変動に惑わされず、確実に配当と成長を回収する姿勢は、資産形成の王道を再確認させるものである。


コカ・コーラに見る持続成長型投資の完成形

コカ・コーラ(NYSE:KO)は、ウォーレン・バフェット率いるバークシャー・ハサウェイのポートフォリオにおいて10.5%の比重を占める中核的資産である。同社は2024年の売上高を前年比3%増の471億ドルに、調整後EPSを7%増の2.88ドルに伸ばし、62年連続の増配という記録を更新した。この配当増額は金額ベースで行われており、名目ではなく実質的な株主還元の強化として位置づけられる。現在の予想配当利回りは約3%であり、長期保有の安定収益源としての性格を強めている。

コカ・コーラへの高い投資比率は、成長率よりも安定性を重視するバフェットの資産運用哲学を体現している。KO株は急騰しないが、配当再投資や複利の観点からは極めて有効な選択肢である。ブランド力、世界的流通網、価格決定力なども、インフレ環境下でも収益の持続性を担保する要素であり、資本効率と株主還元の両立を図る企業としての姿勢が際立つ。短期的な株価変動に翻弄されず、長期での資産防衛と成長を志向する者にとっては、教科書的な銘柄と言えよう。

オキシデンタル・ペトロリアムにおける収益性と資源戦略の妙

オキシデンタル・ペトロリアム(NYSE:OXY)は、バークシャー・ハサウェイのポートフォリオの約4%を構成するエネルギーセクターの主力株である。バークシャーが保有する株数は2億6500万株に達し、その背景には2024年における30億7800万ドルの純利益、217億500万ドルの石油・ガス販売という実績がある。

PERは17.8倍と割安な水準で推移しており、エネルギー価格の変動リスクを孕みつつも、高収益を背景としたバリュエーションの妙味がある。同社の生産量は前年比9%増で日量132.7万バレルに到達し、生産拡大と収益維持のバランスを両立している。

石油セクターは地政学リスクや価格ボラティリティに影響を受けやすいものの、バフェットの投資はそうしたリスクを織り込んだ上での判断であると考えられる。オキシデンタルは、単にエネルギーを採掘・販売するだけでなく、安定的な配当(2.37%)を提供する点でも保有価値を有している。中長期的にはカーボンマネジメント事業などの非採掘分野への展開が焦点となる可能性もあり、化石燃料への依存を背景にしつつも、変化に対応し得る企業体力が評価されていると見られる。

クラフト・ハインツの高配当利回りと割安性が示す防衛的投資の役割

クラフト・ハインツ(NASDAQ:KHC)は、バークシャー・ハサウェイのポートフォリオにおいて3.5%を占める食品セクターの代表格である。同社は2024年、北米および国際市場での調整後営業利益を小幅ながらも成長させた実績を有し、5.39%という高水準の予想配当利回りを提示している。

加えて、同社のPERは12.88倍にとどまり、バリュー投資の観点からも十分に評価可能な水準にある。短期的な成長よりも、安定的な収益源とする位置づけで組み込まれていることは明白である。

KHC株の特徴は、景気循環に左右されにくい消費財という業種の性格にも由来する。必需品に近い食品関連企業は、経済の低迷期にも需要が底堅く、配当性向が維持されやすい。バフェットが同社に投資し続けている理由のひとつは、この業態の防衛力にあると解釈できる。安定した配当と割安な評価、さらにはキャッシュフローの継続性という3要素がそろっており、守りを重視する資産構成の中で、クラフト・ハインツは静かにだが確実に存在感を放っている。

Source:24/7 Wall St.