Meta Platformsの株価は、米国による関税方針の一時停止を受けて1日で約15%の急騰を記録し、再び600ドルの節目を前に揺れ動いている。米国市場において「マグニフィセント7」の一角として高い存在感を持つ同社は、広告収益の拡大とAIインフラへの積極的な投資を両立させる戦略を展開しており、2024年Q4決算ではEPSと売上高ともに市場予想を上回った。

足元の株価変動に対し、市場では戦略的買い場との見方が広がる一方で、4月後半に予定される決算を前に更なるボラティリティが警戒される。54名のアナリストによる評価では「モデレート・バイ」が維持され、依然として強気な見解が支配的だが、AI投資と利益成長のバランスが今後の焦点となる。

関税一時停止と急騰の背景にあるMeta株の構造的強さ

Meta Platformsの株価は2025年4月9日、1日のうちに約15%上昇し、500ドル台から600ドルの水準に迫った。この急騰の直接的な要因は、米国政府による「相互関税」の導入決定と、それに続く90日間の関税一時停止という政策転換である。これにより、貿易摩擦を懸念して売り込まれていたテクノロジー株の一部が反発し、特にAI関連インフラに注力するMetaが注目された格好となった。

同社はFacebook、Instagram、WhatsAppという巨大プラットフォームを擁し、それぞれが広告インプレッション数を堅調に伸ばしている。さらに、Reality Labs部門を通じたAR・VRの研究開発、AIインフラへの大型投資、スマートグラスなどの次世代機器への注力が長期的成長の柱となっている。特筆すべきは、2024年第4四半期決算で売上高484億ドル、EPS8.02ドルといずれも市場予想を大きく上回った点であり、これはAIおよび広告部門の収益成長が加速している証左である。

こうした強固な事業基盤と好調な業績を踏まえると、関税問題に端を発した株価下落は本質的価値と乖離した一時的な反応と見なされる可能性がある。短期的な政策リスクに振り回されつつも、Metaのビジネスモデルは依然として市場全体の健全性を測る重要な指標となっている。

アナリスト評価に見るMetaへの継続的な市場信認

Meta Platformsに対する市場の評価は、依然として強気のトーンを維持している。Barchartの報告によれば、54名のアナリストによる最新評価では、「ストロング・バイ」が46、「モデレート・バイ」が2、「ホールド」が4、「ストロング・セル」が2となっており、総合スコアは5点満点中4.67と極めて高い水準にある。これは、短期的な株価の乱高下にも関わらず、Metaの戦略遂行力に対する市場の揺るぎない信認を示している。

この安定した評価は、過去3ヶ月間にわたり大きな変化がないことからも裏付けられる。株価が一時的に下振れした局面でも、アナリストはAIへの投資、広告事業の拡大、高水準の利益率という3本柱を理由にポジティブな見解を維持してきた。2025年通年のEPS予測は25.43ドル、前年比では約7%の成長と見積もられており、利益の質と成長のバランスにおいて高い評価を得ている。

一方で、AIモデル開発やデータセンター基盤強化に伴う設備投資が急増しており、収益成長と支出拡大とのバランスをどう取るかが注目されている。今後発表される2025年Q1の決算結果は、株価が中期的に上昇軌道に戻るか否かを見極める分岐点となる可能性がある。市場の関心は、この強気評価が維持されるか、それとも期待値の調整が必要となるかに向けられている。

Source:Barchart