Huaweiが中国国家知識産権局(CNIPA)に提出した新特許により、引き込み式のペリスコープカメラシステムの存在が明らかになった。使用時のみセンサーが端末背面から“伸びる”構造で、内部スペースの節約を図りつつ高性能な光学ズームを実現する狙いがうかがえる。さらに、ズームを微調整できる回転リングの搭載も記されており、操作性の向上にも注目が集まりそうだ。
ペリスコープカメラの仕組みとHuawei特許の技術的特徴

Huaweiが中国国家知識産権局に出願した新たな特許では、モバイル端末内のスペース制約に対応するため、引き込み式構造のペリスコープカメラシステムが提案されている。この構造では、通常は本体内部に格納された状態のセンサーが、カメラ使用時にモーター駆動により外部へ展開し、撮影終了後には再び内部へと自動格納される。複雑なレンズ構成やプリズム、ミラーといった光学要素を用いるペリスコープカメラにおいて、従来は多くのスペースを必要とするという課題があったが、今回の特許はそれを回避する新たなアプローチである。
さらに注目すべきは、手動操作でズームを微調整できる回転リングの存在である。これにより、光学ズーム時の段階的な拡大ではなく、より直感的かつ細かな調整が可能になるとみられている。近年のスマートフォンカメラは、ソフトウェアによるデジタル補正が中心となる中、ハードウェアレベルでの操作性向上は明確な差別化要素となり得る。
Huaweiはすでに「Pura 70 Ultra」で引き込み式リアカメラを導入しており、今回の技術もその延長線上にあると考えられる。ただし、今回の特許ではペリスコープ形式への応用が焦点であり、ズーム倍率と画質の両立を目指す姿勢が読み取れる。
業界初となる試みか 既存機種との違いと今後の可能性
ペリスコープカメラは現在、複数のスマートフォンメーカーによって採用されているが、Huaweiが特許出願したような「引き込み式構造」との組み合わせは、現時点で他社に類を見ない。たとえばGalaxyやPixelシリーズではペリスコープセンサーを内部に固定搭載しており、ズーム性能の高さと引き換えに端末厚が増す傾向にあった。Huaweiの今回の技術は、この問題への実用的な解決策となる可能性がある。
一方で、この機構には可動部を多く含むため、耐久性や防水性能といった点で慎重な評価が求められる。モーター駆動による展開機構は物理的な摩耗のリスクを伴うため、長期間の使用において安定した動作を保つための工夫が必要となる。特にアウトドア環境や高湿度下での運用が想定される場面では、この点が製品化の大きなハードルとなりうる。
ただ、HuaweiはLeicaとの長年の協業を経て独自のイメージングブランド「XMAGE」を展開しており、カメラ技術に対する強い開発力を持つ企業として知られる。過去の技術的蓄積を踏まえれば、今回のペリスコープシステムも単なる実験ではなく、量産を視野に入れた動きとみられる。現時点では製品化の時期や詳細仕様は明らかになっていないが、この技術がフラッグシップモデルに採用されれば、撮影体験そのものが一段階進化する可能性もある。
Source:Android Headlines