Appleは、これまでベータ版として提供していたApple Mapsのウェブ版を正式版としてリリースし、iPhoneに加えてAndroidスマートフォンでも利用可能とした。従来はデスクトップやタブレットに限定されていたが、モバイル対応により、Google Maps一強の状況に一石を投じる可能性がある。
新たなApple Mapsでは、地図の探索や経路検索、ガイドの表示など基本機能に対応しつつ、Look Aroundによる360度ビューも利用可能となっている。一方で、交通機関の地図や3D表示、保存済みスポットへのアクセスといった高度な機能は未実装であり、今後の拡張が注目される。
Appleは、さらなる機能追加と対応プラットフォームの拡充を予告しており、これまでApple製デバイスに閉じられていたエコシステムの一部が、段階的に他陣営へも門戸を開く動きとして注視されている。
Androidへの対応でApple Mapsのユーザー層が大幅拡張

Appleは、これまでベータ版として提供してきたウェブ版のApple Mapsを正式リリースし、Android端末を含むモバイルデバイスへの対応を開始した。これにより、maps.apple.comを通じて、iOSに限らず幅広いプラットフォームで同社の地図サービスが利用可能となる。
従来のベータ版はデスクトップやタブレットに限定されていたが、今回のアップデートにより、Google Mapsが事実上独占していたAndroid市場にもAppleが本格的に進出することとなる。今回の展開では、地図の探索や経路検索、ガイド閲覧といった基本的な機能が提供される一方、交通機関情報や3Dビルディング表示、Apple IDを利用したカスタマイズ機能などは依然として非対応である。
ただし、数か月前に追加されたLook Around機能が引き続き利用可能で、利用可能エリアにおいては360度パノラマビューが楽しめる点は新たな魅力といえる。特に都市部における観光用途などでの活用が期待される。
Appleがこのタイミングでモバイル対応に踏み切った背景には、Google Mapsへの依存度を下げる意図や、サービス間連携の主導権を奪回する思惑も透けて見える。Apple MapsをAndroidで使えるようにすることは、競合他社のOS内に自社サービスを送り込むことを意味し、今後のサービスエコシステム戦略の一環と捉えることができる。
利便性は向上も機能制限は依然として残る
Apple Mapsの正式版がモバイル対応となったことで、場所検索や経路案内などの基本操作はスマートフォンからも手軽に利用できるようになった。特に、アプリのインストールを必要とせず、ブラウザから即座にアクセスできる点は、地図アプリの敷居を下げ、短時間の利用やライトユーザーにとって利便性が高い。
しかし、Apple IDによるログインを通じたカスタマイズや保存機能、交通機関の表示、リアルタイムな都市の3Dビューといった高度な機能は未実装のままであり、依然としてGoogle Mapsとの差は大きい。Look Around機能の追加により、360度のパノラマビューが使える点は視覚的な没入感を与えるものの、対応地域が限られていることや、ナビゲーションとの統合が不十分である点では、実用性に課題も残る。
さらに、オフライン利用や多言語対応といった国際的なユーザーへの配慮も現時点では十分とは言い難い。Appleが今後、こうした機能を段階的に解禁していくか否かは不明だが、現時点では「試験的導入」の延長線上という印象も否めない。
モバイル向けの本格的なサービスとして位置づけられるには、今後のアップデートにおける改善や拡張が不可欠となるだろう。競合サービスと肩を並べるには、機能的な完成度が求められる局面に差し掛かっている。
Source:9to5Mac