Samsungは、長らく登場が待たれていた球体型家庭用ロボット「Ballie」を2025年夏後半に米国と韓国で発売すると発表した。最大の特徴は、Google Cloudとの連携により、最新のGemini AIが組み込まれている点である。これによりBallieは音声や映像、センサー情報を用いたマルチモーダル処理が可能となり、スマートホーム制御や予定管理、ライフスタイル提案といった多彩な家庭支援機能を実現するという。

価格や具体的なスペックは依然非公開だが、CESで披露された機能の一部から、星空投影や遠隔プレゼン支援なども期待されている。繰り返された発売延期を経て、Galaxy Z Fold 7と並んで夏のUnpackedイベントで正式発表される可能性が高まっている。

Google Geminiによって実現するBallieのマルチモーダル機能

Samsungが今夏後半に発売を予定している家庭用ロボット「Ballie」には、Google Cloudとの連携によって統合されたGemini AIが搭載される。これにより、音声認識や映像解析、センサーによる環境把握を組み合わせたマルチモーダルな対応が可能になるという。サムスンは、Ballieが家の照明調整やスケジュール通知、来客への応対など、家庭内での幅広いアシスタント機能を担うことを想定しており、AIによる自然言語での会話能力も強化されている。

また、Ballieはスマートホーム機器との連携を前提に設計されており、例えばリビングの照明の明るさをその場の雰囲気に応じて調整したり、家族の行動パターンに基づいて生活習慣を学習し、最適な提案を行うとされている。ただし、具体的なチップセットや処理能力など、ハードウェア面の仕様は現時点で明かされていないため、性能や応答速度についてはまだ不透明な部分も多い。

今後の実機展示やGalaxy Unpackedイベントで、これらの機能がどれだけ実用レベルに達しているかが注目される。Gemini AIの性能がロボットの有用性を左右するため、Googleとの協業がどこまで完成度を引き上げているかが鍵となるだろう。

Ballieの再登場と発売延期を繰り返した5年の歩み

Ballieが初めて公の場に登場したのは2020年のCESだった。当時は小型でコンセプトモデルの域を出ておらず、その後数年間は製品化の動きが見られなかった。ようやく再登場したのは2023年末のCES 2024で、その際には2024年中の発売が示唆されていたが、実際の出荷には至らなかった。そして2025年初頭のCES 2025で再び披露され、今回は「2025年前半」に登場すると明言されていた。

今回発表された「夏後半の発売」は、その前半という枠組みには収まるものの、過去の延期実績を踏まえると実際の発売タイミングについて慎重に捉える必要がある。また、価格設定もいまだ発表されておらず、米国の関税政策など市場環境の影響を受けて調整される可能性があると見られている。

長い開発期間を経たことで、Ballieの機能や設計が着実に進化していることは間違いない。特に天井への星空投影や会議支援など、家庭内だけでなく日常のあらゆるシーンで役立つ存在として紹介されており、発表当初の単なる生活サポートロボットという枠を超える方向性が見えてきている。

Source:Tom’s Guide