AIを活用した創薬に特化するRecursion Pharmaceuticals(RXRX)の株価が、米食品医薬品局(FDA)による動物実験廃止方針の発表を受けて27%急騰した。FDAは今後の医薬品開発において、AIや機械学習によるより人間関連性の高い手法への転換を促進する意向を示しており、これはRecursionの事業戦略と完全に一致している。

同社は60ペタバイト超のデータ基盤を有し、ロシュやメルクなど大手製薬企業とも連携しており、今回の政策転換を契機にさらなる成長が期待されている。ニーダムは年末までに11ドル水準への回復を予測している一方、他のアナリストは「ホールド」を維持しつつも、依然として50%超の上昇余地を見込む。

現在の株価水準は年初来高値から55%下落した位置にあり、投資判断には慎重な検討が求められるが、AIと規制の追い風が交差する局面にあることは間違いない。

FDAの規制転換がRecursion株に与えた即時的かつ構造的インパクト

Recursion Pharmaceuticals(RXRX)の株価は、米食品医薬品局(FDA)が動物実験からの脱却を掲げた声明を発表した直後に27%急騰した。この政策転換により、同社のAI創薬プラットフォームが新たな規制環境において中核的な役割を担う可能性が浮上している。

FDAは機械学習および人工知能技術を活用することで、より人間に近い医薬品評価を目指すとしており、これはRecursionの技術的基盤と完全に一致する。60ペタバイト超の生物学的データを保有し、既にロシュ、メルク、サノフィといった製薬大手と提携するRecursionの研究資産は、他のAI創薬企業と比較して極めて優位性が高い。

今回の価格反応は市場の期待の現れであり、政策と技術が一致したタイミングにおいて投資家が即座にポジションを取ったことを示している。ただし、株価は依然として年初来高値から55%低い水準にあることから、今回の急騰が持続的トレンドの序章となるかどうかは、今後の政策実行力および同社の臨床パイプライン進捗次第である。FDAの意図する「非動物的評価系」の現実化には時間を要する可能性もあり、短期的な過熱と中長期の成長ポテンシャルとの区別が求められる局面である。

 

AI創薬を巡る市場期待とRecursionの事業戦略の整合性

ニーダムのシニアアナリスト、ギル・ブルームはRecursion株について、現在の水準から株価が倍増する余地があるとし、年末までに11ドルへの回復を予想している。この見通しの背景には、同社が推進する候補薬「REC-617」などの臨床開発進捗があり、初期段階ながら有望な治験結果が確認されている点がある。

また、2025年のイノベーション推進に向けて、同社がExscientiaと締結した6億8800万ドル規模の契約からもシナジー効果が期待されている。こうした一連の事業活動は、AI創薬における同社の技術的蓄積と商業的戦略の整合性を浮き彫りにしている。

一方で、Recursionは直近の四半期決算で市場予想を下回っており、収益性という観点では課題を抱えている。現時点ではウォール街の大半のアナリストが「ホールド(中立)」を維持しており、過度な期待は慎重に扱うべきとの認識も根強い。今後の焦点は、戦略提携の実効性およびパイプラインのマイルストーン達成により、どの程度市場の評価が変化するかにかかっている。AIと製薬という両業界の融合領域において、Recursionが持つデータ資産と実行力が問われる局面は今後も続くとみられる。

Source:Barchart.com