MSIは、長らく音沙汰のなかったMPOWERシリーズを復活させ、AM5ソケットとmATXフォームファクタを採用した次世代マザーボードを準備している。Ryzen CPUおよびDDR5メモリのオーバークロックに特化した設計で、最大128GBに対応する2スロットのDDR5 DIMM、M.2スロットと大型ヒートシンクを搭載する。配色も黒と黄色を基調とし、初期のMPOWERの美学を継承したデザインとなっている。
Z790 MPOWER以来の展開となる今回の新型は、B850Eチップセットの採用が想定され、パフォーマンス重視のAM5ビルダーに向けた高コストパフォーマンス製品となる見通しである。特にメモリチューニング能力においては、上位AM5製品と肩を並べる可能性があり、オーバークロッカーにとって注目すべき一台となるだろう。
MSIが復活させるMPOWERシリーズ AM5プラットフォーム対応と設計の刷新

MSIが準備中の新型MPOWERマザーボードは、AM5ソケットを採用し、Ryzenプロセッサとの親和性を前提とした設計である。mATXフォームファクタをベースに、2スロットのDDR5 DIMMにより最大128GBのメモリを搭載可能であり、拡張性と省スペース性を両立する構成となっている。
DDR5オーバークロックへの対応も強化されており、かつてZ790 MPOWERで評価された8000MT/s対応のメモリ制御のノウハウが反映されると見られる。配色は従来のブラウンから刷新され、初代MPOWERを彷彿とさせる黒と黄色の組み合わせが施されている。ヒートシンクは大型化し、M.2スロットの冷却性能も高められ、PCH全体を覆う設計となった。
これらの構成要素は、純粋な機能性の向上に加えて、視覚的な訴求力とブランドの系譜を明確に示す役割も担っている。加えて、SATA IIIポートが2基に留まっている点からは、従来のSATAドライブよりもNVMe SSD中心の構成を前提とした設計思想が読み取れる。オーバークロックを重視するMPOWERのブランドらしく、構成部品と冷却機構の最適化が施されている点が特徴的である。
B850Eチップセットと高精度メモリ制御機構の採用に向けた可能性
Wccftechによると、MSIの次世代MPOWERマザーボードはB850Eチップセットを採用する可能性が高い。このチップセットは、AM5ソケットとの親和性が高く、次世代Ryzenプロセッサの多機能性を引き出すために設計されている。
特に、DDR5メモリへの対応に加え、メモリタイミングの微調整といったオーバークロック制御において、上位モデルに匹敵する精度が期待される。ファンコネクタや冷却機構の配置にも配慮がなされており、高負荷時の安定性に関しても十分な設計が成されている。
一方で、Z790 MPOWERと比較してもSATA端子の数が絞られていることから、最新のストレージ構成に最適化されている点が見て取れる。つまり、レガシー構成への依存を排除し、より現代的なハイパフォーマンス環境を志向していると考えられる。
今後、このB850E搭載モデルがどのような価格帯で登場するかによって、AM5対応市場におけるMPOWERシリーズの影響力が左右される可能性がある。MSIにとっては、この製品がAM5プラットフォーム上でのエンスージアスト層に向けた象徴的存在となるか否かが問われる局面となる。
Source:Wccftech