AMDは2025年4月、8コア16スレッドのRyzen 7 8745HXを発表した。本製品はRyzen 7 7745HXの改良型で、最大5.1GHz動作のZen 4コアを搭載し、Dragon Rangeリフレッシュとして位置づけられている。内蔵GPUにはRadeon 610Mが採用され、PCIe 5.0を28レーン備えるなど、ゲーミングノートPC用途における帯域確保も考慮されている。

Cinebenchの前世代スコアからは、Core Ultra 9やCore i5-13500HXと拮抗する性能が推測され、現行ゲームにおいても一定以上の処理能力が期待できる。メモリはDDR5-5200に対応し、TDPは55W、ピーク時には75Wまで引き上げ可能であることから、冷却設計に対する要求も高まると見られる。

リフレッシュモデル8745HXの構成と性能特性

Ryzen 7 8745HXは、2025年4月10日に発表されたノートPC向けの高性能プロセッサであり、Ryzen 7 7745HXの後継として設計された。Zen 4アーキテクチャを採用した8コア16スレッド構成により、3.6GHzから最大5.1GHzで動作する強力な演算性能を発揮する。製造には5nmプロセスが用いられ、I/Oダイには6nmプロセスを適用。これにより、処理効率と電力性能の両立が図られている。

また、8745HXは内蔵GPUとしてRadeon 610Mを搭載しているが、これはRDNA 2世代の基本的なグラフィックス機能にとどまり、外部GPUとの併用が前提とされる。一方で、PCIe 5.0レーンを28本搭載し、最大15.75 GB/sの帯域幅を持つことから、ディスクリートGPUや高速SSDとの高い接続性が確保されている。さらに、メモリはDDR5-5200まで対応しており、帯域面でも現代的な要件に適合する。

ただし、ThunderboltやNPUといった先進的な機能は非搭載であり、AIアクセラレーションや高速汎用接続には非対応となる。ゲーミングや高負荷な業務処理においては、これらの制限が導入判断に影響を与える可能性がある。8745HXは、性能重視の構成を採る一方で、機能面ではやや割り切った設計となっている点に留意すべきであろう。

放熱設計が鍵を握るTDP特性と想定される使用環境

Ryzen 7 8745HXは、基本TDPを55Wに設定し、最大で75Wまで引き上げ可能な設計となっている。これは、前世代に相当する7745HXと同様であり、長時間の高負荷環境での利用を想定した仕様である。NotebookCheckがテストした7745HX搭載機では、実際に最大TDPが発揮されていたことから、8745HXも同等の運用が可能であると見られている。

高いTDPに対応するには、相応の放熱設計が必要不可欠である。50Wを超える熱を持続的に処理するには、複数のヒートパイプや高回転ファンを組み合わせた冷却構造が求められる。特に、ノートPC筐体内でのスペース制限と静音性とのトレードオフは、開発段階での重要な検討事項となる。

このため、8745HXは薄型軽量を志向した機種よりも、冷却性能を重視するゲーミングノートやクリエイター向けの上位モデルに採用される可能性が高い。省電力性よりも持続的な高性能出力を優先した製品群に適したCPUと位置づけられる。一方で、TDP制限下では性能のスロットリングも想定されるため、製品選定においては冷却能力を十分に見極めることが肝要となる。

Source:NotebookCheck