マイクロソフト株(MSFT)は、S&P500が3月末以降に5%以上下落する中、堅調なパフォーマンスを維持し、短期的な反発も確認されている。現行株価は386.82ドルで、1月の高値からは下落しているものの、配当増が見込まれる9月を控え、バリュエーション面での割安感が強調されている。

フォワードP/Eや配当利回りを基準とする複数の評価モデルでは、今後の上昇余地が4〜9%程度あると算出されており、アナリスト間でも上値余地は平均で14%超との見方が支配的である。また、ショートプット戦略による高利回りの収益確保も可能とされ、安定株としての魅力が再評価されつつある。

市場全体の不透明感が増す中で、キャッシュフローの確実性と収益の安定性を兼ね備えたMSFT株は、下値不安が相対的に小さく、リスクヘッジ手段を伴う投資先として機関投資家からの注目が集まっている。

アナリスト評価と利回り計算が示すマイクロソフト株の割安性

マイクロソフト株(MSFT)は、フォワードEPSや配当利回りを基にした複数のバリュエーション手法によって、現在の水準が割安であることが数値的に裏付けられている。まず、配当利回りを用いた評価では、同社の年間配当額3.32ドルを過去5年間の平均利回り0.82%で割り戻すと、理論的な株価は約404.88ドルとなり、現行価格の386.82ドルから見て4.65%の上昇余地があるとされている。

また、EPS予測を用いた評価では、2025年6月期13.17ドル、2026年14.99ドルという予想を平均化した14.08ドルに対して、平均フォワードP/E倍率29.96を適用すると、株価は421.84ドルが妥当とされ、現行価格比で9%の上昇余地が導かれる。

さらに、アナリストによる株価目標も割安性を支持している。Yahoo!ファイナンスでは59人の平均目標株価が499.16ドル、Barchartでは505.78ドルとされており、いずれも現在より大きく乖離している。AnaChart.comでは38人の平均が442.54ドル、上位5名に限っても413.00ドルと、保守的な見積もりでも上昇余地は6.7%ある。特にJPモルガンのMark Murphy氏は、株価目標465ドルを掲げ、目標達成率92.86%、パフォーマンススコア3.87と高い信頼性を示している。

こうした評価指標はいずれも、現行のMSFT株価が理論値を下回っていることを示唆しているが、その前提には今後の業績成長と安定した配当維持がある。米中関係の緊張やテックセクターのボラティリティが続く中においても、財務基盤と事業の多様性に強みを持つマイクロソフトの相対的な防御力は高いと見られる。

現金担保付きショートプット戦略に見るリスク分散型アプローチ

Barchartが提案する「アウト・オブ・ザ・マネー(OTM)」プットの売却戦略は、マイクロソフト株に対する短期的な保守的投資の一手として注目されている。3月14日の提案では、4月25日満期・375ドルのプットオプションを7.05ドルで売却し、1.875%という即時利回りを確保する戦略が紹介された。

実際、このプットはその後価格が4.43ドルに低下し、利回りも1.18%を維持したままポジションの価値は上昇している。また、5月16日満期の同価格帯プットは13.48ドルで取引され、3.595%の利回りを実現可能とされている。

こうした戦略の魅力は、プレミアム収入によって下落リスクを一定程度吸収できる点にある。仮に株価が375ドルまで下落し、プットが行使された場合でも、実質的な取得価格は361.52ドルとなり、現在価格よりも6.67%低く抑えられる。このように、株価の下落局面においても、取得コストを引き下げた形でポジションを持てることは、慎重な資産形成を目指す投資家にとっては有効な選択肢となる。

ただし、これはあくまで現金担保付きであるため、一定の資金拘束が伴い、また株価が損益分岐点を大きく下回る場合は損失が発生する可能性がある点にも留意が必要である。従って、こうした戦略は、マイクロソフトの事業継続性や配当政策に対する高い信頼が前提条件となる。

Barchartのオプショントレーディングセクションが示唆するように、同戦略は明確な買い水準を定める目的とセットで運用されるべきであり、単なる高利回り狙いではなく、中長期的な資産防衛戦略の一部として位置づけることが求められる。

Source:Barchart.com