Nvidia株は年初来で18%下落し、市場の期待に届かなかった決算後も売り圧力が継続している。だが同社は、売上393億ドル・EPS0.89ドルといずれも前年から大幅に増加し、データセンター部門の成長率は93%に達した。AIプロセッサーBlackwellやH100の需要も堅調で、特に生成AI市場では他社を圧倒している。

また、MicrosoftやGoogleなどによるインフラ投資がNvidia製品の継続的な需要を支え、Blackwellだけで110億ドルの売上を記録。GTC 2025ではネットワーク技術の刷新も発表され、AI時代のインフラ統合企業としての地位をさらに強固にしている。アナリストは同社に「強い買い」を継続しており、株価は今後62%の上昇余地があるとの見方も示されている。

業績は市場予想を上回るも株価下落が続く構図

Nvidiaは2025年度第4四半期において、売上393億ドル・EPS0.89ドルを計上し、いずれも市場予想を上回った。それにもかかわらず、株価は年初来で18%の下落となっており、投資家心理と市場期待との間に乖離が生じている。

特に注目されるのは、データセンター部門の売上が前年比93%増の356億ドルと急成長したにもかかわらず、粗利益率は73.5%へと低下した点である。この縮小は、競争激化と原価上昇圧力を反映しており、収益性の維持に対する市場の懸念を示している。

また、Nvidiaは営業キャッシュフローを前年の115億ドルから166億ドルへと拡大し、四半期末時点で432億ドルの現金準備と短期負債ゼロという強固な財務基盤を維持している。これは、短期的な市場の不安定さに対して柔軟に対応できる体制が整っていることを意味する。しかしながら、AI分野の絶対的リーダーという評価がすでに株価に織り込まれていたことから、決算内容がポジティブであってもサプライズとは受け取られず、株価反発には至っていない。

この構図は、高成長テック企業に対する市場の期待値が極めて高い水準に達していることを物語る。従って今後、Nvidiaに対する投資判断には、好決算を超える次元の技術革新や新規需要創出が鍵を握ることになる。現時点では、過去の実績だけでは十分な株価押し上げ要因とはならないという現実が浮き彫りになっている。

AI基盤企業としての多層的展開が成長維持の原動力

Nvidiaは、従来のGPU製造企業という枠を超え、AIインフラ全体を提供する企業としての地位を確立しつつある。特にBlackwellおよびH100 GPUは、生成AI向けの高度なトレーニング・推論処理において不可欠な存在であり、MicrosoftやAmazon、Metaといったテック大手の設備投資需要に強く支えられている。Blackwellに関しては、初の四半期にして既に110億ドルの売上を達成しており、その商業化のスピードとスケーラビリティが業界内での優位性を浮き彫りにしている。

さらにGTC 2025では、次世代ネットワークスイッチアーキテクチャを発表し、AIクラスタ間の通信帯域を飛躍的に高める技術革新を提示した。これは、ソフトウェア、ネットワーキング、シリコン、クラウドサービスといった領域を垂直統合することで、ハイパースケーラーから政府機関に至るまで、幅広い需要層に対応可能であることを示すものでもある。

このような多層的な戦略は、半導体の供給業者としての役割にとどまらず、AI革命を構成する基盤インフラ提供者としての役割を果たすことを意味する。

こうした包括的な事業展開が継続される限り、Nvidiaは構造的な成長基盤を維持し得る。ただし、それが株価の上昇につながるかどうかは、今後のマクロ環境と競合各社の技術進展次第である点に注意を要する。特に、中国リスクや地政学的な制約が強まる中で、グローバルなサプライチェーン戦略の柔軟性が今後の成否を分ける要素となる。

市場評価は依然として強気も、過熱感への警戒は拭えず

アナリストによるNvidia株への評価は、依然として極めて高い水準にある。43人中37人が「強い買い」、2人が「やや買い」、4人が「ホールド」と評価しており、平均目標株価は175.05ドルと、現在の水準から62%の上昇余地があるとされている。特に売上成長率60.38%、利益成長率66.24%という予測値は、セクター平均の6.68%および10.73%を大幅に上回っており、今後も高成長が継続するとの期待が市場に根強く存在している。

しかしながら、こうした評価が示す強気の見通しは、ある種の過熱感をも伴っている点が懸念される。すでに時価総額は2.6兆ドルに達しており、今後さらに期待値を超えるパフォーマンスを求められる状況が続けば、失望売りのリスクも増すことになる。特に、生成AIブームが一時的な過熱局面にあるとの見方が台頭した場合、その影響はNvidiaの評価に直結する可能性がある。

従って、アナリスト予測を鵜呑みにするのではなく、キャッシュフローや粗利益率、サプライチェーンリスクといった複合的な要素を精査し、中長期視点での投資戦略が必要とされる。株価の上昇余地は理論上大きく見えるが、それを実現するには市場期待を上回る連続的な成果が不可欠であり、決して安易な「押し目買い」が報われるとは限らない局面に差し掛かっている。

Source:Barchart.com