Meta Platformsが2024年に中国から得た広告収益は183.5億ドルに上り、全体の約11%を占めていたが、トランプ前大統領による報復関税の影響で、今後大幅な減収リスクに直面する見通しとなった。今回の関税により、中国製品への税率は最大145%に達し、中国の広告主がMetaプラットフォームへの支出を削減する可能性が高まっている。

一方で、米議会ではMeta幹部による中国共産党との関係に関する虚偽発言や、AI技術に関する対中情報共有疑惑も浮上しており、同社に対する信認が揺らいでいる。複数の証券会社は目標株価を引き下げつつも、なお「買い」判断を維持しているが、急速な成長を支えてきた中国事業の失速と政治的リスクの複合的影響は無視できない要素である。

中国広告依存が露呈したMetaの脆弱性と収益構造の実態

Meta Platformsは2024年に中国から183.5億ドルの広告収益を計上し、これは同年の総収益の11%に相当する。この構造は一見すると矛盾を孕んでいる。なぜなら、Metaの主要サービスであるFacebookやInstagramは中国本土で禁止されているため、同社が中国市場に依存しているとは想像されにくいからである。しかし実態としては、中国の広告主がこれらのプラットフォームを通じて西側諸国の消費者に商品を訴求する構図が定着しており、特に米国市場へのリーチがMeta収益の成長を支える柱となっていた。

このような形での収益依存は、グローバル広告市場の政治的緊張によって容易に揺らぐリスクを抱える。今回のトランプ前大統領による145%関税導入により、中国企業の対米輸出が制限されるだけでなく、広告予算そのものの削減が避けがたくなる。

加えて、Metaがこの収益の大半を少数の広告代理店に依存していると年次報告書で明かしている点も見逃せない。規制や外交関係の変化が一部の販売チャネルに打撃を与えるだけで、全体収益に直結する構造は極めて脆弱である。

このような構図を踏まえると、Metaの広告モデルは分散化に乏しく、外的ショックに対する耐性が限定的であると判断される。サービス自体が物理製品に依存していないとはいえ、地政学的要因が業績に及ぼす影響は極めて大きく、事業のグローバル化がリスク分散とはならない事例と言える。

米中関係とMeta株評価の変化 投資判断に影を落とす複合リスク

トランプ氏が4月2日に発表した報復関税はMetaの株価にも直接的な影響を及ぼしている。年初から好調を維持していたMeta株は、マグニフィセント・セブンの中でも最後まで上昇基調を保っていたが、関税措置発表後は複数の大手証券会社によって目標株価が相次いで引き下げられた。Piper Sandlerは610ドル、バンク・オブ・アメリカやJPモルガンなども同様の見通しを提示しており、2025年・2026年の業績見通しも軒並み下方修正された。

それでも「買い」推奨を維持する動きが多いのは、現在のMeta株価が依然として成長余地を残していると見る向きがあるためである。平均目標株価は733.55ドルとされ、現水準からの上昇余地は約37%と算出されている。成長率を考慮したPEG比率も1.26倍と、割高感は相対的に薄い。ただし、こうした評価には中国市場の不確実性が十分に織り込まれているかは疑問が残る。

さらに、Meta幹部が中国共産党との関係について虚偽の説明を行っていたとの内部証言や、米国のAI研究情報を中国に提供したとの疑惑が上院で取り上げられたことも、投資家のセンチメントに冷水を浴びせた。仮にこれらの事案が規制や制裁の引き金となれば、企業価値への影響は広告収益の減速に留まらない可能性がある。よって、現段階での積極的な買い判断には慎重な検討が求められる。

Source:Barchart.com