ウォーレン・バフェット率いるバークシャー・ハサウェイは、2025年の株式市場が大幅下落に見舞われる中で14%の上昇を記録しており、改めてその守備的ポートフォリオへの関心が高まっている。歴史的に繰り返されてきたベアマーケット・ラリーに対し、市場は一時的な上昇に浮かれるも、その直後に再び売りが強まる傾向が確認されている。
こうした不安定な局面で求められるのは、収益性と配当の安定性を兼ね備えた「バフェット型」銘柄である。今回24/7 Wall St.に紹介された4社、すなわちコカ・コーラ、ドミノ・ピザ、クラフト・ハインツ、そしてクローガーは、それぞれ長期的視点での持続可能性と堅牢な収益基盤を有している点が共通しており、いずれも生活必需品・飲食関連という景気変動に強いセクターに根差していることが特徴である。
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バークシャー・ハサウェイが重視する配当株の共通項と選定理由

2025年の市場環境下においてバークシャー・ハサウェイが高いリターンを記録した背景には、選定銘柄の安定性と配当利回りの高さがある。特にコカ・コーラ、ドミノ・ピザ、クラフト・ハインツ、クローガーの4社に共通するのは、景気後退局面においても需要が継続する生活密着型事業に特化している点である。
コカ・コーラは世界200か国で日常的に消費される飲料ブランドを保有し、バフェットが4億株を保有する長年の投資対象である。クラフト・ハインツは北米売上比率が76%に及び、内需志向が強いことから為替や海外経済の影響を比較的受けにくい。ドミノ・ピザは技術革新と効率的物流によってデリバリー市場で優位性を持ち、クローガーは多業態の店舗展開とガソリン事業まで含む多角化戦略が特徴となっている。
これら4社はいずれも高配当を維持しつつ、消費者の基本的ニーズに応える商品群を提供している。加えて、各社とも長期的ブランド価値を有しており、広告や設備投資に対するリターンも安定的であることが見て取れる。S&P500全体が変動する中で、こうしたディフェンシブ銘柄を選好する姿勢は、バフェットの投資哲学が単なる資本収益率を超えた「永続的競争優位性」の重視に根ざしていることを示している。短期的な値動きではなく、50年単位の資産保全と成長に目を向ける投資行動の表れと言える。
弱気相場の反発局面で注意すべき歴史的パターンと投資判断
過去50年の金融市場において、弱気相場の中で突発的な反発が観測されるケースはたびたび存在した。直近では、2025年に米国大統領が「中国を除くすべての国に10%の固定関税を課す」と発表したことをきっかけに、主要株価指数が2008年以来の急上昇を記録したが、翌日には売りが再開された。
これは2008〜2009年のリーマン・ショックや2000年のITバブル崩壊時、2020年のコロナショックといった歴史的局面でも同様に観測されており、突発的な上昇はしばしば継続せず反落の契機となっている。
こうした市場挙動の繰り返しは、感情的な楽観に流されず、データと事例に基づいた投資判断の重要性を浮き彫りにしている。短期的な上昇に乗じてハイリスク銘柄に資金を投じるのではなく、バフェットが保有するような収益と配当が安定した企業への選別投資こそが、下落相場でも損失回避と将来の回復を見据えた有効な手段となりうる。
市場全体に対する広範な楽観や恐怖の波が強まる局面では、過去の教訓を冷静に適用することが中長期の投資成果を左右する。高騰局面こそ慎重さが求められるという点で、今こそ堅実な配当株に回帰する局面であると認識されるべきである。
Source: 24/7 Wall St.