Nvidia株(NASDAQ: NVDA)は米中貿易摩擦の影響により年初来で約20%下落したが、米政府が半導体を含む複数分野を追加関税対象から除外したことで反発し、4月11日には3%超上昇して終えた。こうした動きの中で、ウォール街では同株に対し強気の見方が広がり、TipRanksに集計された41人のアナリストのうち9割超が「買い」と評価している。目標株価の平均は174ドルと現在値から56%の上昇余地を示し、最も高い予測では220ドルに達する見通しもある。

個別では、UBSが台湾TSMCの輸出増からAIデータセンター需要を強調し185ドルを提示、KeyBancは出荷遅延の懸念を織り込みつつも190ドルを維持しており、全体としてAIインフラ需要と政策リスクの交錯が今後の株価形成に影響を与える可能性がある。

ウォール街の高評価が示すNvidiaの成長期待とその根拠

Nvidiaに対するウォール街の評価は依然として強気であり、特にAI半導体市場の成長性がその背景にある。TipRanksの集計によれば、41人のアナリストのうち37人が「買い」、4人が「保有」、売却を推奨する声は皆無であり、平均目標株価は174ドルと現在水準から56%の上昇余地を見込んでいる。

中でもKeyBanc Capital Marketsは190ドル、UBSは185ドルの目標を掲げ、両社ともデータセンター向けGPU需要の堅調さを理由としている。また、TD CowenやCitiも評価を下方修正しつつも「買い」姿勢を維持しており、BlackwellプラットフォームやAIインフラの展開力に一定の信頼を寄せている。

これらの評価に共通しているのは、短期的な供給遅延や出荷変動などの課題があっても、長期的には生成AIやクラウドインフラ分野の拡大が同社の成長ドライバーであるとの前提に基づいている点である。TSMCや台湾の輸出統計などからも読み取れるように、グローバルなAI需要は明確な増加傾向を示しており、その中核を担うNvidiaへの注目は今後も継続すると見られる。過度な期待は警戒されるべきだが、専門家の評価の大半が「ストロング・バイ」に傾いていることは、確かな成長余地があるとする市場の認識を示している。

 

米中関係と関税政策がNvidiaの業績に与える影響

Nvidiaにとって米中間の貿易政策は重大な外部要因であり、特に中国に依存するサプライチェーン構造が価格と利益率の両面に影響を与え得る。記事によれば、米政府は4月11日に半導体を含む複数の電子機器関連分野を報復関税の対象から除外する方針を示し、Nvidia株はその日の終値で3%以上の上昇を記録した。この報道は、最大145%に及ぶ対中関税が同社の調達コストに及ぼす悪影響を一時的に緩和するとの期待を呼んだ。

しかし、こうした一時的な政策転換が中長期的に継続する保証はなく、専門家の間でも企業投資が鈍化するリスクや利益率圧迫の可能性が依然として警戒されている。CitiのAtif Malikが指摘したように、関税は中程度の業績影響をもたらすと見られており、その影響の程度はUSMCAなど地域協定の例外措置の有無にも左右される構造となっている。

今後、関税の再強化や地政学的な摩擦が再燃した場合には、AI半導体のサプライチェーンが混乱し、収益性や市場評価にも下押し圧力が加わることが懸念される。政策環境の不確実性が、同社の将来予測における最大の変動要因といえる。

Source:Finbold