仮想通貨取引所大手コインベース(NASDAQ: COIN)の株価が、テクニカル分析における「カップ・アンド・ハンドル」パターンの形成を背景に、大規模な上昇局面に移行する兆しを見せている。2025年初頭までに30%以上下落した同株は現在、週足ベースで約20%の上昇を記録し、175ドル台で推移中である。
このパターンが示唆する上値抵抗帯は360〜370ドルに集中しており、同水準を上抜ければ株価は倍増する可能性があると見られている。加えて、2024年の収益倍増やSEC訴訟の取り下げといったファンダメンタルの改善も重なり、今後12ヶ月間の平均目標株価は296ドルと算出されている。
RSI指標では過熱感はなく、仮想通貨市場の好転が続けば、上昇余地はさらに拡大する余地がある。ただし、関税政策など外部要因の影響により、不確実性が残されている点には引き続き注意が必要となる。
コインベース株に現れた長期的テクニカル転換点とその意味

仮想通貨取引所コインベース(NASDAQ: COIN)の株価は、過去数年間にわたって形成されたテクニカルパターン「カップ・アンド・ハンドル」により、注目を集めている。このチャート形状は2021年末から2025年初頭にかけての長期的な反転基調を示すもので、現在は「ハンドル」部分の最終局面にある。
TrendSpiderが4月13日にX(旧Twitter)で公開した分析によれば、このパターンが完成すれば、360〜370ドルの抵抗帯を突破する可能性が高まり、株価は大幅なブレイクアウトへ向かうと指摘されている。
年初来では30%超の下落を経験したコインベース株だが、直近では週足ベースで20%の上昇を見せており、175ドル付近まで回復している。RSI(相対力指数)も過熱感のない中立圏にとどまっており、急騰による反落リスクは相対的に低い。したがって、市場参加者にとっては今が仕込み時と捉えられる可能性がある。ただし、360ドル以上の水準には過去に何度も反発を阻まれた経緯があるため、パターン完成の確度については引き続き慎重な見極めが求められる。
長期的なチャート構造の完成が意識される一方で、現在の株価水準がそれに見合った調整局面であるか否かを判断するには、出来高や他のテクニカル指標の確認も重要である。価格構造だけでなく、投資家心理や仮想通貨市場全体のセンチメントも今後の展開に大きく影響を与えるだろう。
業績急回復と規制緩和の兆候が示すファンダメンタルの転機
テクニカルな期待値の裏付けとなるのが、2024年のコインベースの急回復を示す業績である。同社は前年に比べて収益を倍増させ、年間63億ドルに達した。特筆すべきは、そのうち40億ドルが取引手数料収入によるもので、残る23億ドルもステーブルコインやステーキング、サブスクリプションによって構成される。取引活動の活発化とサービス多様化が同社の成長を支えている。
さらに米証券取引委員会(SEC)が提起していた訴訟を取り下げた事実は、規制環境の好転を示唆するものである。今後、仮想通貨に好意的な法案が米議会で通過すれば、同社にとっての成長機会はさらに拡大する可能性がある。このような前向きな要素を背景に、TipRanksに掲載された21人のアナリストによるコンセンサスは、今後12ヶ月間で296ドルへの株価上昇を見込んでおり、現在水準からは70%超の上昇余地があるとされる。
ただし、株価収益率(P/Eレシオ)は33.74と、現在の株価が過小評価されているわけではなく、投資判断にあたっては外部環境の変化も慎重に考慮すべきである。特に、関税政策などの地政学的リスクが市場に与える影響は予断を許さない状況にある。したがって、同社のファンダメンタルズがいかに強固であっても、それが直ちに株価上昇に直結するとは限らない。市場の評価には常にタイムラグと期待のバイアスが伴うため、過信は禁物である。
Source:Finbold