Googleの新型ミッドレンジ機「Pixel 9a」が、これまでのAシリーズの常識を覆すデザインで登場する。アイコン的存在だったカメラバーを排除し、フラットな背面とアルミフレームを採用。Pixel 5を彷彿とさせる落ち着いた外観と、ミニマルな設計が際立つ構成となっている。
加えて、厚さ8.9mmのまま5100mAhの大容量バッテリーを実現した背景には、フラッグシップにも使われるプラスチックOLEDの採用がある。Pixel 9aは見た目だけでなく、実用性と修理性に配慮した設計思想が随所に光る一台といえる。
カメラバーの廃止とフラットデザインがもたらす実用性の進化

Pixel 9aは従来のPixelシリーズの象徴だったカメラバーをあえて取り除き、フラットな背面に変更したことにより、日常使用における安定性と利便性を高めている。カメラ部分の突起がないことで、机の上でもグラつかず、ポケットやバッグへの出し入れ時にも引っかかりが少なくなった。さらに、このデザイン変更は掃除のしやすさにも貢献しており、レンズ周囲にホコリが溜まりにくくなる点は、長期使用時の満足度にも影響する。
この設計は、Pixel 5のようなミニマリズムを感じさせるスタイルで、見た目の派手さよりも使い勝手を優先した選択といえる。加えて、iPhoneに似たフラットな構造は修理性を高めるとされており、EUで2026年8月から施行予定のバッテリー交換義務化への対応としても合理的だ。Googleはこのようにして、単なる廉価モデルに留まらず、耐久性や環境への配慮といった観点を含めた“選ばれる設計”を追求している。
この変化によって、Pixelを象徴するデザインの一部を失ったという声もある。しかし、実用性と機能性の両立を重視する中で、こうしたデザインの刷新は今後のPixelシリーズに新たな方向性をもたらす第一歩となるかもしれない。
プラスチックOLEDの採用で実現した厚さ据え置きの大容量バッテリー
Pixel 9aは5100mAhの大容量バッテリーを搭載しながら、厚さ8.9mmという筐体サイズを維持している。その実現を支えているのが、Pixel 9シリーズでも採用された「プラスチックOLED」だ。従来のガラスOLEDよりも薄く軽量で、柔軟性や耐久性にも優れているこの素材は、筐体内部の空間を有効活用する上で大きな鍵となった。これにより、カメラバンプを排除しつつも、バッテリーの大型化とデザインのスマートさを両立している。
Pixel 9aのプロダクトマネージャーであるSoniya Jobanputra氏は、Made by Googleのポッドキャスト内で、内部構造を緻密に再設計した結果であると述べている。見た目の変化に加えて、構造的にも刷新されていることが明らかだ。これにより、カメラの脆弱性が減少し、落下時や衝撃への耐性も向上する可能性がある。
こうした取り組みは、単なる部品コストの最適化ではなく、実用面と使用者体験の双方に価値をもたらす方針の一環と捉えられる。価格を抑えながらも、中長期的に見た使いやすさと信頼性を意識したPixel 9aの設計は、今後のスタンダードとして注目される可能性がある。
Source:Android Authority