2025年第1四半期の決算シーズンを前に、ウォール街はトランプ政権下の関税政策による経済の不確実性と向き合う中、投資判断の精度が問われている。こうした局面で、Finboldは成長の兆しを示す2つの企業に着目した。
1つは消費財の巨頭コカ・コーラ(NYSE: KO)であり、安定した業績と多角的ブランド展開を背景に収益予想を上回る成績を記録。もう1つはAI分野で急成長を遂げるパランティア(NASDAQ: PLTR)で、政府契約と商業領域での拡張によって市場予想を大幅に上回るガイダンスを提示している。
両社はいずれも、継続する米中貿易摩擦の中においても、堅実なビジネス基盤と適応力を備えており、投資家にとっては決算発表を前に検討に値する銘柄とされる。ただし、地政学的リスクや関税動向が今後の展開に影響を及ぼす可能性は引き続き注視が必要である。
コカ・コーラの決算実績と2025年成長見通し

コカ・コーラ(NYSE: KO)は、2024年第4四半期の決算で予想を上回る業績を記録し、同社の安定的な収益力とブランド戦略の強靭さを改めて示した。調整後1株当たり利益(EPS)は55セントで市場予想の52セントを上回り、売上高は115億4,000万ドルに達した。純利益は前年同期比で13%増の22億ドルとなり、生活必需品セクターにおける同社の優位性が浮き彫りとなった。さらに、2025年のガイダンスでは、通貨や構造調整の影響がある中でもオーガニック収益で5〜6%、調整後EPSで2〜3%の成長を見込んでおり、堅調な見通しを維持している。
製品ポートフォリオの多様性もコカ・コーラの競争力を支えている。Fairlife MilkやTopo Chicoなどの成長ブランドが需要を喚起し、関税コストに対しては代替包装の採用などで柔軟に対応している点も注目に値する。一方で、年初来で株価が15%以上上昇していることは、市場参加者の信頼を反映していると解釈できるが、既に株価に好材料が織り込まれている可能性もあり、今後の上値余地には慎重な視点も求められる。外部環境の変動が業績に及ぼす影響を見極める姿勢が重要となる。
パランティアのAI成長戦略と商業分野への拡張
パランティア(NASDAQ: PLTR)は、AI領域での突出した技術力と、堅調な業績によって、2025年の決算シーズン前に注目を集めている。2024年第4四半期決算では調整後EPSが14セントと予想を上回り、売上高も8億2,800万ドルと市場予測を超過した。2025年第1四半期については、売上高が8億5,800万〜8億6,200万ドルとされ、7億9,900万ドルの市場予測を大きく上回る見通しを示している。通期予測も37億4,000万〜37億6,000万ドルとされ、成長軌道を明確に示している。
加えて、4億8,000万ドル規模のMaven Smart System契約を含む政府向け案件の堅調さが業績の下支えとなる一方で、近年では商業部門への転換を加速しており、売上の構造にも変化が見られる。この動きは、公共部門依存からの脱却を図るものと捉えられ、将来的な利益成長の多様性に寄与し得る。
ただし、年初来で17%上昇したPLTR株は既に高いバリュエーションが付されており、今後は企業の成長性と株価の乖離を慎重に見極める姿勢が必要となる。急速な商業展開が収益安定化にどこまで寄与するかが注目される。
Source: Finbold