エクソンモービル(XOM)の株価が一時の高値から下落し、年率3.84%という過去平均を上回る配当利回りを記録している。過去3年間の平均利回り3.49%と比較した場合、10〜12%の株価上昇余地があるとされ、アナリストの平均目標株価も現在値から最大25%の上振れを示唆している。さらに、短期的な利益を狙うOTMプット売り戦略を活用すれば、月利4%という水準のプレミアム収入を確保できる可能性もある。

同社は今後5年間で営業キャッシュフローが53%成長する見通しがあり、過去26年間の連続増配実績からも、今後の配当増が継続する可能性は高い。ただし、原油価格の下落リスクや戦略実行に伴う担保資金の必要性などを踏まえると、確実性の高い利回り確保の手段として活用するには十分な注意が求められる。株価水準、配当利回り、オプション戦略の3要素から見た総合的な魅力が、再評価の契機となっている。

配当利回りと割安性が示す中期的上昇余地

エクソンモービル(XOM)の株価は4月1日の高値119.04ドルから103.14ドルまで大きく下落しており、足元では年率3.84%という高水準の配当利回りを実現している。これは過去3年間の平均である3.49%と比較しても明らかに高く、配当利回りベースで算出された平均目標株価113.47ドルとの比較では、10%超の上昇余地があることを意味する。

さらに、増配を想定した場合、1年間の加重平均配当が4.04ドルとなり、これを同じ3.49%で割り戻せば、新たな理論株価は115.76ドルとなる。現在の株価水準と比較すれば、約12.2%の上昇可能性が示唆される構図だ。

加えて、XOMの財務基盤は極めて堅調である。2024年の営業キャッシュフローが568.48億ドル、そこから5年後には870億ドルへと53%の増加が予測されており、これは年平均8.877%という複利成長に相当する。配当の持続性と増配の実現可能性を裏付ける要因として、このキャッシュフローの成長性は極めて重要である。

26年間にわたる連続増配の実績は、こうした収益基盤の強靭さを反映しており、保守的な投資家にとっても説得力を持つ材料といえる。株価が平均利回り水準に回帰する過程で、長期保有によるインカムとキャピタルゲインの両立が視野に入る局面である。

アナリスト評価とオプション戦略が映す期待値の多層構造

エクソンモービル株に対するアナリストの評価は総じて強気である。Yahoo! Financeによれば、28名のアナリストによる平均目標株価は126.64ドルで、Barchartでは127.75ドルとさらに高水準である。両者の平均値である127.20ドルは、現在値から23%の上昇余地を示しており、長期的なリターンへの期待が読み取れる。

AnaChart.comでは29名のアナリストの平均が123.28ドル、上位5名の平均は129.40ドルとされ、Doug Leggate(Wolfe Securities)は93%の予測精度で140ドル、RBCのアナリストは88.5%の精度で115ドルの目標株価を提示している。これは個別アナリストによる精緻な評価が、市場全体の見通しを押し上げている状況である。

他方で、短期的な戦略として注目されるのがOTMプットの売却によるプレミアム収益である。たとえば、5月9日満期の100ドルストライクのプットオプションでは、4.23ドルのミッドプレミアムがついており、満期まで27日という期間で4.23%の利回りが得られる可能性がある。

仮にXOMが100ドルを下回ったとしても、損益分岐点は95.77ドルとなり、配当利回りは逆に4.22%へ上昇する。株価下落に対する緩衝材として機能しうるこの戦略は、キャッシュ確保を重視する投資家にとって一つの有効な手段である。

なお、原油価格下落といった外部要因によるリスクは依然として存在する。デルタ比率38%という確率的リスク管理の視点を踏まえると、オプション戦略の実行にはリスク許容度との整合が求められる。とはいえ、現物株とオプションを組み合わせることで、多層的な期待値管理が可能になる点は、他の大型株と比較してもXOMの魅力といえる。

Source: Barchart.com