株式市場が下落基調にある中で、ウォーレン・バフェットが長年信頼を置く2つの主力銘柄が再評価されている。アップルはAI機能「Apple Intelligence」の欧州展開を進め、堅実な製品収益と14%成長したサービス部門を軸に長期的な収益基盤を強化。バークシャー・ハサウェイは2025年初頭に3,310億ドルの現金を保有し、新規投資への即応体制を構築する一方、過去5年でS&P500を大きく上回る株価上昇率を記録した。

バフェットは強固なブランドと継続的な利益成長を重視し、景気後退や相場の乱高下といった逆風下でも安定した成果を残す企業を選別している。現在の調整局面は、短期的な値動きに左右されない長期的投資の好機と捉える見方が市場で広がっている。


アップルが示す堅実な成長構造 AIとサービス事業が長期投資の鍵を握る

アップルは2024年末時点でバークシャー・ハサウェイが3億株を保有する最大の保有銘柄であり、ティム・クックCEOの下、製品とサービスの両面で収益構造を深化させている。中核であるiPhoneの販売は、AI機能「Apple Intelligence」の展開を通じて再活性化しており、欧州市場への提供開始が買い替え需要の促進とブランドの浸透を後押しする。

[さらに、同社のアクティブデバイスの増加が、サービス部門の成長と収益性の拡大に寄与している。2024年12月期にはサービス売上が前年比14%増の構成比21%に達し、定常的なキャッシュフロー源としての役割を明確化した。

このような堅牢な財務体質は、過去1年間で960億ドルの純利益を実現し、150億ドル以上の配当を株主に還元することで裏付けられる。加えて、同社は1410億ドル相当の現金および有価証券を保有しており、今後の資本政策にも柔軟性を持つ。

なお、Motley Foolによると、Appleは高成長銘柄の選定リストに含まれていないが、アナリストは年率10%の利益成長を見込んでおり、ブランド力と顧客基盤の厚みが中長期の安定投資先として評価されている。価格変動の影響を受けにくいこの構造は、長期的な視野での投資判断において決定的な意味を持つ。

バークシャー・ハサウェイの資本効率と保守戦略 現金3,310億ドルが下支えとなる構造

バークシャー・ハサウェイは、ウォーレン・バフェットがClass A株の38%を保有し、ポートフォリオの中核をなす存在である。2025年初頭時点で同社が保有する現金および短期投資は3,310億ドルに達しており、これは1.1兆ドルに上る時価総額のおよそ半分に相当する。同社は株式市場の調整局面を新たな投資機会と捉え、優良資産の買い増しによって持続的な利益拡大を目指す戦略を継続している。過去5年間における株価上昇率は161%と、S&P500の88%を大きく上回っており、その運用能力の高さが実証されている。

傘下に収めるバーリントン・ノーザン鉄道、GEICO、バークシャー・ハサウェイ・エナジーなどの子会社は、2024年に営業利益470億ドルを生み出し、直近3年間で72%の増加を記録した。このような事業基盤は、景気後退局面においても相対的に強い耐性を示しており、長期的視点に立つ資産運用に適しているといえる。

株式ポートフォリオには、Apple、アメリカン・エキスプレス、コカ・コーラといった高収益企業が含まれており、安定した配当とブランド価値によってリターンの下支えがなされている。現在の株価水準は、内在価値に対して割安であると評価される余地があり、特にリスク回避型の運用方針を取る投資家にとっては注目すべき選択肢となる。

Source: The Motley Fool