シティグループは、Nvidia(NASDAQ: NVDA)の目標株価を従来の163ドルから150ドルへと引き下げた。背景には、2025年および2026年のGPU出荷見通しがそれぞれ3%および5%下方修正されたことに加え、一株当たり利益(EPS)予測の3%引き下げがある。また、米中間で再燃の兆しを見せる貿易戦争への懸念が、長期的な成長性への不確実性を増幅させている。
これに対し市場全体は依然として強気な姿勢を崩しておらず、NVDA株の目標価格中央値は175ドル、高値予測では235ドルに達している。2024年に急騰した株価は年初来で18%以上の調整を強いられているが、AI分野での支配的な地位を維持するNvidiaには依然として回復の余地があるとの見方も根強い。
シティの目標株価引き下げはマクロ要因と業績見通しの悪化が主因

シティグループは、Nvidiaの2025年および2026年におけるGPUユニット出荷予測を、それぞれ3%および5%下方修正した。これにより、一株当たり利益(EPS)の見積もりも3%引き下げられ、目標株価は従来の163ドルから150ドルに変更された。今回の引き下げの根底には、米中間の貿易摩擦が再燃するとの懸念があるとされ、特に半導体を巡る規制強化や輸出制限が、同社の成長トレンドに影を落とすと警戒されている。
Nvidiaは2024年に174%以上の株価上昇を記録し、AI分野の成長を背景に市場の期待を集めた。しかし2025年第1四半期が終わる時点でその勢いは鈍化しており、株価は過去6か月間で18%以上下落した。これらの動きは、短期的な業績に対する懸念と、景気後退リスクが市場に与える影響を如実に反映しているとみられる。加えて、地政学的リスクが高まる中で、投資家の間には利確や守りの姿勢が広がっている可能性がある。
ウォール街の評価は依然として強気予想が優勢
Nvidiaに対するシティの慎重な評価とは対照的に、ウォール街の大勢は依然として同社に強気な見方を維持している。現在、アナリストの目標株価中央値は175ドルとされており、高値予測では235ドルに達している。これは現行株価から見た上昇余地が113%にのぼる計算となり、特に生成AIやデータセンター市場におけるNvidiaのプレゼンスを重視した結果と考えられる。
市場の期待を背景に、短期的な調整にもかかわらず中長期での上昇を見込む声が根強い。AIインフラの急拡大や半導体需要の持続性に注目が集まる中、特定の機関による目標株価引き下げが全体の見通しを覆すものとはなっていない。ただし、地政学的な不確実性が長期化すれば、今後の再評価が相次ぐ可能性も否定できず、現在の分岐的な評価は今後の指標発表や業績次第でさらに明暗を分ける展開となりうる。
Source: Watcher Guru