OnePlusとHasselbladの提携から生まれた「XPANモード」は、OnePlus 13のカメラアプリ内に密かに存在するパノラマ撮影機能である。35mmフィルムとパノラマを融合した往年の名機「XPANカメラ」に着想を得たこのモードでは、スマホを横に動かすことなく、1回のシャッターで横長の映画的な構図を撮影できるのが特徴だ。

モード切替でフィルム調のUIに変化し、露出調整やレンズ切替、モノクロ化なども可能となっており、風景から日常の一瞬までを劇的に捉えることができる。画質面ではわずかな制限があるものの、他のスマホにはない独特のスケール感と没入感が得られるため、OnePlus 13を選ぶ理由の一つとなり得る機能だと言える。

OnePlus 13に搭載されたXPANモードの仕組みとその操作性

OnePlus 13に搭載されているXPANモードは、Hasselbladとの協業によって生まれた特有のカメラ機能である。XPANという名称は、1998年に登場したHasselbladのフィルムカメラ「XPAN」に由来し、35mmとパノラマのフォーマットを一本のフィルムで両立させた設計思想がベースとなっている。スマートフォン版XPANモードでは、65:24という独自のアスペクト比をワンタップで撮影でき、メインカメラと超広角カメラを組み合わせて通常のパノラマとは異なる臨場感を提供する。操作画面も独特で、UIがフィルム調に変化し、露出スライダーや3つの焦点距離(15mm/23mm/73mm)の選択、白黒フィルターのON/OFFなどが直感的に扱える設計になっている。特に、シャッターを切る前の構図確認がシネマスコープ的な視界で行える点は、他のスマホカメラでは得られない没入感を生む。

一方で、画質やダイナミックレンジについては通常モードに比べて若干の劣化が見られることもあるが、それはあくまで比較上の話であり、XPANの魅力はその“表現の幅”にあると言える。多くのユーザーがカメラ機能を最大限に使いこなせていない中で、このモードは創作の可能性を広げるツールとして存在感を放つ。タップ一つで劇的な構図を手に入れられるこの体験は、日常の撮影体験を再定義するきっかけとなるだろう。

XPANモードが描き出すパノラマ写真の魅力と制限

XPANモードで撮影された写真は、65:24という極端に横長のアスペクト比により、通常のスマホ写真では得られない広がりを持つ。この特性は風景写真において特に効果を発揮し、ラスベガスの山並みや「The Sphere」のようなスケール感のある被写体に対して、構図全体に広がりと奥行きを与える。従来のパノラマ撮影が手動でのスキャンに頼るのに対し、XPANでは1回のシャッターで完結するため、ブレや不自然な繋ぎ目が発生しにくいという利点がある。さらに、画面上に表示されるフィルム調フレームにより、撮影前から完成形を意識した構図作りが可能となる点も大きな違いだ。

ただし、その広がりと引き換えに、画質面では若干の制約が伴う。ダイナミックレンジやディテール再現では標準モードに及ばない場面もあり、すべてのシーンで万能というわけではない。それでも、芝生の緑が一層際立つディスクゴルフ場や、ピンボール台が並ぶブリュワリーのような被写体に対しては、XPANならではの“空間の流れ”が画に深みを与えている。特に都市部や屋内など、奥行きの表現が難しい場所においても、XPANは“視覚の余白”を作り出すことで、写真に物語性をもたらしている。

日常の何気ない瞬間を“映画的”に変えるXPANの意外な使い道

XPANモードの本領は風景撮影だけにとどまらない。抹茶カフェや自宅のリビング、さらには愛猫との日常といった、ささやかな日常の中にもその効果は発揮される。一般的な3:4構図では切り取ることが難しい“空間の広がり”や“時間の流れ”が、XPANの横長フォーマットによって自然に強調され、ありふれた光景が一瞬で映画のワンシーンのような趣へと変貌する。これは撮影者が自ら構図を工夫したわけではなく、モードの力で構図が再解釈された結果であるという点が興味深い。

こうした特性は、構図力や編集力を持たない撮影者にとっても有効で、誰もが“魅せる一枚”を手にできる可能性を秘めている。もちろん、用途を誤れば画角の広さが逆に主題を弱めてしまう場合もあるが、適切なシーンで用いれば、SNSやアルバムに一枚差し込むだけで印象が変わる。標準モードの補完として活用すれば、OnePlus 13のカメラ体験はより立体的なものになるだろう。XPANモードが単なる機能の一つではなく、“撮る動機”を与える存在である点こそが、OnePlus 13の隠れた強みだと言える。

Source:Android Authority