ビットコインは過去数日で15%以上上昇し、価格は再び86,000ドル目前に迫った。注目すべきは、短期保有者のMVRV指標が0.90へと上昇し、損益分岐点である1.00に接近している点である。暗号資産アナリストのBurak Kesmeci氏は、MVRVの回復が市場心理の改善を反映しており、強気相場再開の兆しと見ることができると指摘した。
MVRVは投資家が平均して利益か損失かを示す指標であり、短期保有層は価格変動に敏感であることから、市場の転換点を測る有効な手がかりとなる。現状では価格が88,000ドルの抵抗帯を突破するかが注目される一方で、日次の取引量が減少している点には慎重な姿勢が必要である。
ビットコイン短期保有者のMVRVが0.90に上昇 過去の危機時水準を上回る動き

ビットコインの短期保有者におけるMVRVが0.90へと回復し、2024年8月のキャリートレード危機時の0.83を上回った。米国の関税変更による市場の混乱で一時0.82まで低下した同指標は、数日間の価格上昇に伴って持ち直している。MVRVとは市場価値と取得価格の比率であり、1.00を下回れば平均保有者が損失を抱えていることを意味する。この指標は、投資家心理と今後の市場トレンドの判断に活用されるもので、特に短期保有者の動向は市場全体に先行して影響を与える傾向が強い。
アナリストのBurak Kesmeci氏は、現在の0.90という水準は回復の兆しとしつつも、明確なトレンド転換を示すには1.00超えが必要だと警鐘を鳴らしている。確かにMVRVの上昇は投資家の損益状況の改善を意味するが、歴史的にもMVRVが1.00を上回って初めて明確な強気相場が始動したケースが多い。したがって、現時点では市場が反転したと断定するには尚早であり、慎重な観測が求められる局面にある。
ビットコインの価格推移と市場の分岐点 日次取引量減少が課題に
現在、ビットコインは85,390ドルで取引されており、過去1週間で2.11%、1か月で4.33%の上昇を記録している。価格は一時74,000ドルを割った後、急速に反発し、再び86,000ドル付近を目指す動きを見せている。しかし、上昇トレンドの持続には懸念材料も存在する。最も大きな要素は、直近の取引量が前日比で約39%減少しているという点であり、これは実需の伴わない価格回復である可能性を示唆する。
また、88,000ドル付近には強いレジスタンスがあり、ここを突破できるかどうかが中期的なトレンドの明暗を分けることになる。一方で、価格が調整局面に入った場合、最初のサポートラインは79,000ドルに位置しており、この水準が維持されるかが下値リスクの焦点となる。短期的な上昇は期待感を呼び起こすが、ボリュームの伴わない相場は反落リスクを孕む。投資判断には、価格そのものだけでなく、取引量やMVRVなど複合的な指標の併用が不可欠である。
Source:Bitcoinist