Microsoftは、Wallpaper Engineなどの壁紙カスタマイズアプリとの互換性問題により6ヶ月以上続いていたWindows 11 バージョン24H2へのアップデートブロックを、2025年4月に入ってようやく解除し始めた。具体的には、影響を受けるアプリが修正を含むバージョンを提供し始めたことにより、Microsoftは「セーフガードID 52754008」に基づく安全措置を段階的に緩和している。
Wallpaper Engineも2025年2月にバージョン2.6をリリースし、Windows 11 24H2との互換性を向上させる修正を実施済み。ただし、依然としてアップグレードにはアプリの更新やアンインストールを求められる場合があり、特定のデバイスでは問題解消のタイミングに個体差が生じる可能性がある。
Wallpaper Engineが引き起こした互換性問題とMicrosoftの対応の変化

Microsoftは2024年9月以降、Wallpaper Engineをはじめとする壁紙カスタマイズアプリとの互換性に問題があるとして、Windows 11バージョン24H2へのアップグレードを一部の環境でブロックしていた。これはスクリーンセーバー検出やWeb壁紙切り替えの不具合を含む深刻な互換性の乱れが原因であり、MicrosoftはセーフガードID「52754008」を用いてその影響範囲を制御してきた。そして2025年4月、Wallpaper Engineが2月にリリースしたバージョン2.6でこの問題の修正を実施したことを受けて、Microsoftは段階的にアップグレード制限を解除し始めた。なお、この解除は即時的な全解放ではなく、設定画面やWindowsインストールアシスタント経由でアップデートを試みた際に、壁紙アプリのアンインストールや更新を促すメッセージが表示されることがある。これは環境に応じて必要な処置が異なることを示しており、一律対応では済まされない実情がある。
このブロック解除の動きは、単なる技術的障害の解消ではなく、Microsoftの対応姿勢の変化としても注目に値する。これまで長期間にわたり問題が放置されてきたが、特定のアプリ側の対応によって一気に進展が見られた点からは、同社がアプリ開発者との連携を重視する方向へとシフトしている兆しもうかがえる。背景には、ユーザー環境の多様化とサードパーティアプリとの共存がますます重要になっているという現実があると考えられる。
一部デバイスに残るアップグレード制限とユーザーへの影響
今回の段階的なブロック解除によって、すべてのユーザーが即座にWindows 11 24H2へ移行できるわけではない。互換性の問題が存在していたアプリが更新されていない場合や、古いバージョンのまま使用されているケースでは、依然としてアップグレードが制限される可能性がある。Microsoftは、ユーザーがアップデート時に表示される警告を通じて必要な対応を促す方針をとっており、例えば該当アプリを更新するか、削除することが求められる。これらの処置が完了すれば、ようやくインストールが可能となる仕組みだ。特に複数の壁紙アプリが影響を受けているため、どのアプリがボトルネックとなっているかが分かりにくい状況も続いている。
このような環境依存の制限は、ユーザーにとって手間や混乱を招きかねない。とりわけ、自動アップデートが無効化されている場合や、サードパーティアプリの更新通知が届かない設定になっていると、知らずにアップグレード不能な状態が続くおそれもある。Microsoftは今回の問題に対し比較的丁寧な情報提供を行っているが、実際の対処がアプリ側に委ねられる構造は、今後も類似のトラブルを生みやすい。こうした課題に対し、より一元的で分かりやすいアップグレード支援の仕組みが求められる時期に来ていると感じられる。
Source:Neowin