NVIDIAは新世代GPU「GeForce RTX 5060 Ti」の仕様をGPU-Z経由で明らかにした。4608基のCUDAコア、16GB GDDR7メモリ、180WのTDP、448GB/sの帯域幅などが確認され、ベースクロックは2407MHz、ブーストクロックは2572MHzに達する。レビュー解禁は2025年4月15日、正式発売は翌16日である。
今回公開されたスクリーンショットにより、アーキテクチャがGB206であることや、Samsung製メモリの採用、PCIe 5.0 x8への対応、Founders Edition非展開などの特徴が判明した。加えて、NVIDIAは初回レビュー対象を16GBモデルのみに限定しており、市場投入戦略の緻密さがうかがえる。
仕様確定によって判明したGeForce RTX 5060 Tiの設計思想と技術的特徴

GPU-Zの最新スクリーンショットから、GeForce RTX 5060 Ti(16GBモデル)の詳細な仕様が明らかとなった。ベースクロックは2407MHz、ブーストクロックは2572MHzに設定されており、GDDR7メモリを1750MHzで駆動することで実効28Gbpsの速度と448GB/sの帯域幅を実現している。搭載メモリはSamsung製であり、Hynix製は確認されていない。さらに、4608基のCUDAコア、144のTMU、48のROPが搭載されており、これらはすべてのSKUに共通の構成であることが予測される。
注目すべきは、アーキテクチャが既存のAda Lovelaceではなく「GB206」ベースに刷新されている点である。これは従来のRTX 4060シリーズが採用していた「AD」系と明確に異なる。TDPは180Wでロックされており、ユーザーによる調整はできない仕様である。また、PCIe 5.0 x8対応が確認されており、次世代帯域への適応が強く意識されていることも分かる。BIOS完成日は2025年3月16日と比較的直近であり、製品投入の準備が短期間で行われていることを示唆している。
これらのスペックは、単なる性能向上だけではなく、コスト最適化と次世代プラットフォームとの整合性を狙った設計である可能性がある。Founders Editionが存在しない点や、レビューに使用されるプレリリースドライバー(バージョン575.94)の特定など、NVIDIAの細やかな制御戦略が製品展開の随所に現れている。
レビュー戦略と製品構成制限に見るNVIDIAの市場統制手法
NVIDIAはGeForce RTX 5060 Tiの公開に際し、レビュー解禁日を2025年4月15日と定め、レビュー対象を16GBモデルに限定するという極めて計画的なマーケティング手法を採用している。8GBモデルに関する評価は意図的に制限されており、万一レビューが掲載された場合にはレビュワーが独自に製品を入手した可能性があるとされる。このようなレビュー対象の厳密な管理は、初期評価が市場に与える影響を重視するNVIDIAの姿勢を物語っている。
また、製品の希望小売価格(MSRP)は、16GBモデルが499ドル、8GBモデルが399ドルに設定されているが、情報開示の順序や対象から見て、NVIDIAは明確に16GBモデルを主軸として訴求する構えであると読み取れる。Founders Editionの存在をあえて排除した点についても、ボードパートナーによる製品差別化を促進し、市場全体でのラインナップの多様性を生み出す狙いが感じられる。
このような販売管理とレビュー統制の手法は、性能評価が株価や販売戦略に直結する半導体市場において、製品ポジショニングを精緻に調整するための手段と捉えられる。NVIDIAは単なるスペック競争を超え、情報流通そのものをコントロールすることで、需給バランスを含めた市場環境の最適化を図っているように見える。
Source:VideoCardz.com