Nvidiaの新世代GPU「RTX 5070」においても、電源ケーブルが溶けるという深刻なトラブルが報告された。従来のRTX 4090や5080と異なり、消費電力が250W程度と比較的控えめな本モデルにおける事故であるにもかかわらず、12V-2×6電源コネクタの物理的接続不良が原因でケーブルが焼損したとされている
使用された電源ユニットはATX 3.1準拠の「Focus Fモデル」であり、規格上は問題がない構成であった。それでも起動時にクラッシュが発生し、PCIeケーブルが溶けるという事態に至ったことで、再設計されたはずの12V-2×6コネクタの安全性に対し、設計思想そのものを疑問視する声が改めて浮上している。
類似の構造を採用しないAMD製GPUではこうした問題が一切発生していない点も、12V-2×6の導入判断に対する再考を促す材料となる可能性がある。メーカー起因かユーザー操作かは確定していないが、現行仕様のままでは根本的なリスク回避にはつながらない恐れがある。
RTX 5070で発生した電源ケーブル溶解 12V-2×6設計の再評価を促す新たな事例

Nvidiaが採用する12V-2×6電源コネクタに再び疑義が投げかけられている。RTX 5070において、PCIe電源ケーブルの1本が溶解する事故が報告された。注目すべきは、本カードの最大消費電力が約250Wと高くない点であり、これは先代のRTX 4090の450Wと比較すると安全余裕が大きいはずの構成である。それにもかかわらずケーブル焼損が発生したことで、設計自体の信頼性が改めて問われている。
この事故の原因について、使用された電源ユニットがATX 3.1準拠の「Focus Fモデル」であることが後に判明しており、供給側の仕様不適合ではないとされている。また、12V-2×6コネクタを標準搭載している点からも、アダプタの誤使用といったリスクも排除される。しかし、電源ピンの1つが接続時に物理的な損傷を受けていたとの指摘があり、接触不良によって異常発熱が引き起こされた可能性が示唆されている。
RTX 4090や5080でも過去に類似の焼損例が報告されており、当時はケーブルの折れや挿入不足が主な原因とされていた。今回のケースはそうした物理的誤接続リスクが再設計後も残存していることを物語っており、Nvidiaによるコネクタ構造の安全設計には、抜本的な再検討が求められる局面に差しかかっていると言える。
他社製GPUとの設計思想の差異 AMDは従来構成を維持し安定性を確保
Nvidiaの12V-2×6採用によるトラブルが繰り返される中、競合するAMDは一貫して従来の8ピンPCIeコネクタ方式を採用し続けている。実際に、より高い電力消費が想定されるRX 9070 XTにおいても、2~3本の8ピン構成を維持しながら、これまで同様の焼損事故は一切報告されていない。これは設計上のアプローチに大きな差があることを示しており、信頼性重視の姿勢が際立っている。
12V-2×6コネクタは理論上、高出力かつスマートな配線を可能にする革新的な技術とされたが、物理的な挿入エラーやユーザーによる誤使用に対する許容性が極めて低い。今回のRTX 5070のように、規格通りの構成でも接触不良が生じるようでは、設計思想そのものが一般ユーザーの使用環境に適合していないとの見方が広がりかねない。
一方で、AMDが採用する従来コネクタは冗長性と汎用性に優れており、多少の物理的ズレや力のかかり方に対しても比較的寛容である。こうした設計の安定性は、高性能GPUを日常的に利用するユーザーにとって重要な信頼要因となりうる。RTXシリーズが持つ性能優位性がこうした構造的リスクによって毀損されるのであれば、消費者の選択基準にも変化が生じる可能性がある。
Source:ExtremeTech